よくある質問まとめ

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罪名別Q&Aよくある質問まとめ

放火Q&A

刑事事件における放火罪の行為は、火を放って一定の客体を焼損することです

着手時期(これ以降は、未遂罪が成立する)は、点火のときです。
既遂時期は、「焼損」と判断されるときです。

既遂時期の「焼損」とは具体的にどの時期ですか?

刑事事件の判例によると、火が媒介物を離れて目的物に移り、その目的物が独立して燃焼作用を営みうる状態に達したときを焼損とします。(大判大7.3.15、最判昭23.11.2)

火を放ったところ、天井板の一部を焼いただけで消火されました。刑事事件における放火罪は既遂ですか?未遂ですか?

既遂になります。
結果として燃えた範囲は狭いですが、天井板が燃え始めた時点で目的物(家)が独立して燃焼作用を営みうる状態に達したといえるので既遂罪になります。

押入の床板および上段の一部を焼いただけで消火されました。刑事事件における放火罪は既遂ですか?未遂ですか?

既遂になります。
結果として燃えた範囲は狭いですが、天井板が燃え始めた時点で目的物(家)が独立して燃焼作用を営みうる状態に達したといえるので既遂罪になります。

居室に火を放ったところ、居室の引き戸に接する柱の一部をわずかな深度に、引き戸の敷居についても一部だけをそれぞれ炭化させた場合、刑事事件における放火罪は既遂ですか?未遂ですか?

既遂になります。
結果として燃えた範囲は狭いですが、天井板が燃え始めた時点で目的物(家)が独立して燃焼作用を営みうる状態に達したといえるので既遂罪になります。

枯萓をこたつに押し込み点火したが、こたつやぐら、布団、畳などの建具類が燃失しただけで消火されました。刑事事件における放火罪は既遂ですか?未遂ですか?

未遂になります。
こたつやぐら、布団、畳などの建具類が燃えたにすぎず、目的物である家が燃え始め、独立して燃え続ける程の状態にはなっていないため未遂です。

火をつけるつもりはなかったけど、自分の行為に起因して火がついてしまい、消火しなかった場合にも刑事事件における放火罪は成立しますか?

消火義務が認められる場合で、それにも関わらず消火しなかった場合には不作為の放火罪が成立します。消火義務が認められるのは、法令、契約、事務管理、慣習・条理による場合です。
自分の行為に起因して火がついてしまったのであれば、たとえ過失行為によるものであっても、先行行為に基づいて消火義務があり、放火罪の成立が認められます。

養父を殺害した息子が、格闘中に養父の投げつけた燃木尻の火が住宅内に積んであった藁に燃え移ったのに気付いたが、これを放置して立ち去った場合、刑事事件における放火罪は成立しますか?

放火罪が成立します。たとえ火を放ったのが養父であったとしても、息子は火が住宅内の藁に燃え移ったのを確認しています。養父は既に殺害済みであるため、これを消火することが出来るのは自分しかいないことを認識しつつ立ち去っています。このような場合には先行行為に基づく消火義務が発生しており、これを放置して立ち去った場合には放火罪が成立します。(大判大7.12.18)

神棚に灯明をあげて礼拝した際、燭台の蝋受けが不完全で、このまま蝋燭を放っておけば倒れて神符等に火がつくかもしれないと認識しながら、放置して外出し、家屋を焼失させた場合に刑事事件における放火罪は認められますか?

放火罪が成立します。
建造物等の所有者・占有者・管理者として、その建造物等に対する排他的支配関係が認められますし、さらに、自身の過失行為によって蝋燭が傾いているのを認めているので、先行行為に基づく消火義務が認められ、消火せずに放置した場合には放火罪が成立します。(大判昭13.3.11)

残業職員が、自己の不注意により事務室内の炭火が木机等に引火して燃焼し始めているのを発見し、容易に消火できる状態であったのに、何らの処置もせずに逃走した場合、刑事事件における放火罪になりますか?

放火罪が成立します。
過失行為によって燃焼し始めており、消火も容易である状況であるので消火義務が認められ、これを履行せずに逃走しているので放火罪が成立します。(最判昭33.9.9)

108条 現住建造物等放火罪は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役
109条 非現住建造物等放火罪は、2年以上の有期懲役
自己の所有に係る場合は、6月以上7年以下の懲役。
ただし、公共の危険を生じさせなかった時は罰しない
と、客体が『現住建造物』であるか『非現住建造物』であるかによって量刑に大きな違いがあります。

刑事事件における現住建造物等放火の『現住建造物』とはどのようなものが該当しますか?

「現に人が住居に使用し」とは、現に人の起臥寝食の場所として日常使用されることであり、
「現に人がいる」とは、放火の際に人が現在することです。

1室を宿直室にあて、宿直員に夜間宿泊させている校舎の2階部分に放火した場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります。
「現に人が住居に使用し」については、その本来の用途が住居として使用することを目的としたものである必要はありません。
また、昼夜にわたって人が生活している必要はなく、夜だけ寝泊まりするという場合でもいいですし、建造物の一部が起臥寝食の場として使用されていれば全体が住居に当たります。

一部に人が居住する劇場建物に接着している便所に放火した場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります
建造物の一部が起臥寝食の場として使用されていれば全体が住居に当たるとされます。

待合業を営む家で営業上日夜人が出入りし、かつ起臥寝食の場所として使用されている別棟の離れ座敷に放火した場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります。
別棟の離れ屋敷であっても、日夜人が出入りしていれば、そこに放火するということは人に危険性が及ぶことは明白であって、現住建造物となります。

居住者が災害で一時期非難している場合や、旅行などのために若干の期間留守にしている建物に放火した場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります。
その時に偶々人が現住していないだけであって、日常起臥寝食に利用している場合には、現住建造物となります。

本殿、拝殿、社務所等の建物が廻廊等で接続され、夜間も神職等が社務所等で宿直していた平安神宮殿について、社務所等から遠くはなれた一部に放火した場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります。
一部に放火されることにより全体に延焼する可能性があるので住居に該当すると刑事裁判において判断されました(最決平元.7.14)

12階建集合住宅であるマンション内部に設置されたエレベーターのかご内に火を放ち、その側壁として使用されている化粧鋼板の表面約0.3平方メートルを燃焼させたにすぎない場合、刑事事件として現住建造物等放火になりますか?非現住建造物等放火になりますか?

現住建造物等放火になります。
エレベーターと居住部分に一体性が認められるので住居に該当すると刑事裁判において判断されました(最決平元7.7)

【参考】
108条(現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

109条(非現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。

110条(建造物等以外放火)
放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

111条(延焼)
第109条第2項又は前条第2項の罪を犯し、よって第108条又は第109条第1項に規定する物に延焼させたときは、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 前条第2項の罪を犯し、よって同条第1項に規定する物に延焼させたときは、3年以下の懲役に処する。

第112条(未遂罪)
第108条及び第109条第1項の罪の未遂は、罰する。

第113条(予備)
第108条又は第109条第1項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

第114条(消火妨害)
火災の際に、消火用の物を隠匿し、若しくは損壊し、又はその他の方法により、消火を妨害した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

第115条(差押え等に係る自己の物に関する特例)
第109条第1項及び第110条第1項に規定する物が自己の所有に係るものであったも、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。

第116条(失火)
失火により、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。
2 失火により、第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者も、前項と同様とする。

第117条(激発物破裂)
火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第108条に規定する物又は他人の所有に係る第109条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第109条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第110条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。
2 前項の行為が過失によるときは、失火の例による。

第117条の2(業務上失火等)
第116条又は前条第1項の行為が業務上必要な注意を怠ったことによるとき、又は重大な過失によるときは、3年以下の禁錮又は150万円以下の罰金に処する。

第118条(ガス漏出等及び同致死傷)
ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、又は遮断し、よって人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
2 ガス、電気又は蒸気を漏出させ、流出させ、または遮断し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

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