よくある質問まとめ

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罪名別Q&Aよくある質問まとめ

殺人Q&A

胎児は刑事事件における殺人罪の客体になりますか?

胎児は刑事事件における殺人罪の客体になりません。胎児は刑事事件における堕胎罪の対象とされるのみです。

母体から大半が露出した胎児を刺して殺した場合、刑事事件における殺人罪は成立しますか?

母体から一部が露出している以上、母体に関係なく外部より死亡の結果を生じさせる侵害を加えることが可能になるため、刑事事件における殺人罪が成立します(大判大8.12.13)。

堕胎しようとしたものの生きて産まれた場合に、その後この嬰児を殺害した場合、刑事事件における殺人罪は成立しますか?

殺人罪は成立します。
生きて出生した以上は人であり、人を殺害すれば刑事事件における殺人罪が成立します。

親が幼児に食事を与えず餓死させた場合、刑事事件における殺人罪は成立しますか?

成立することがあります。

【殺人罪が成立するとした判例】
▪ 扶養義務者が、死んでもかまわないと思い幼児に食事を与えず、餓死させる行為は殺人罪にあたるとされました(大判大4.2.10)。
▪ 内妻の出産した生後1週間余りの女児を引き取ったが、貧困等のため殺意をもって生存に必要な授乳をせず飢餓状態に陥らせて死亡させた事案は殺人罪にあたるとされました(大判大15.10.25)。
▪ 仮死状態で出生した嬰児を故意に何らの保護を与えず分娩された状態のまま放置した後、新聞紙等に包んで川に投入し、寒冷のための生活機能の低下により死亡させた事案は殺人罪にあたるとされました(東京高判昭35.2.17)。

自動車を運転中誤って歩行者をひいてしまい、ひいたことに気付いたが、 (1)そのまま逃げてしまい、その歩行者が死亡した場合の罪 (2)一旦は、刑事事件の被害者を救護しようと助手席に乗せたが、やはり途中で怖くなったため道に遺棄して、その歩行者が死亡した場合の刑事事件における罪 はそれぞれどうなりますか?

(1)殺人罪は成立しませんが、自動車運転過失致死罪が成立します。
(2)殺人罪が成立する可能性があります。

意識不明の被害者を病院に搬送すべく自動車助手席に同乗させたものの、事故の発覚をおそれて途中で変心し、未必の殺意をもって約3km離れた人通りの少ない寒気厳しい暗い場所で遺棄して逃走したが、その後被害者が発見されたため死亡するには至らなかった事案で、裁判例は殺人未遂罪の成立を認めています(東京高判昭46.3.4)。
*未必の故意…行為者が、犯罪事実の実現について、確定的とまでは認識認容していないが、可能なものと認識して認容している場合をいいます。

殺害行為は、被害者の死の結果を惹起させうる現実的危険性のあるものでなければなりません。

現実の危険性がある場合とない場合とは具体的にどのような場合ですか?  飛行機事故か飛行機テロによって相手を殺したいと考えて、航空切符を贈り飛行機に乗せました。しかし実際には無事に目的地に着いてしまいました。刑事事件における殺人未遂罪になりますか?

飛行機事故や飛行機テロが起きる可能性は極めて低く、相手を飛行機に乗せるという行為が死の結果を惹起させうる現実的危険性のある行為とはいえません。たとえ相手を殺すつもりという故意があったとしても殺人未遂罪は成立せず不能犯となります。

相手を殺そうと考えて小型の刀で刺しましたが、相手はかすり傷を負っただけで死にませんでした。刑事事件における殺人未遂罪になりますか?

小型の刀であっても傷害部位によっては致命傷に至り、殺傷能力は認められるので、殺人未遂罪が成立する可能性があります。

相手を殺すつもりで毒入りの食物を食べさせようとしましたが、においと色が異常であったため相手は異変に気づきこれを口にしませんでした。刑事事件における殺人未遂罪になりますか?

毒性の強い毒物を口にさせようと提供しているので、提供する行為には現実的危険性があるといえ殺人未遂罪が成立する可能性があります。

外で雷がなりだしたので、相手を落雷によって感電死させようと考え外に連れ出しました。しかし、雷は落ちなかったので相手を殺すことはできませんでした。刑事事件における殺人未遂罪になりますか?

雷が鳴っているからといって、外に連れ出しても相手に雷が落ちる確率は極めて低く、現実的危険性がある行為とはいえませんので、殺人未遂罪は成立しません。この場合には不能犯となります。

刑事事件において殺人罪が成立するためには、殺害行為と被害者の死との間に因果関係が必要です。

Aが被害者に対し、殺意をもって執拗に殴る蹴るの暴行を加えたところ、被害者が隙を見て逃走し、その途中で池に落ち、溺れて死亡した場合、刑事事件における殺人罪になりませんか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
刑事事件の被害者が溺死となった原因は、逃走の際に池に落ちたことによるものですが、暴行を加えられなければ逃走することも無かったのであって、暴行から死亡への因果関係が認められる可能性があります。
同様に、判例は、逃走の際に池に落ち、岩に頭を打ってくも膜下出血により死亡した場合にも、暴行から死亡への因果関係が認められるとして刑事事件における殺人罪の成立を認めています。

Aは被害者に対し、殺意をもって殴る蹴るの暴行を加えたところ、隙を見て被害者が逃げ出しました。逃げる際に、被害者が高速道路に逃げ込んだために車にひかれて死亡しました。この場合でもAは刑事事件における殺人罪になりますか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
高速道路に逃げ込むというのはそれ自体極めて危険な行為であって、社会通念上一般とは言い難い行為です。しかし、長時間に及ぶ執拗な暴行を受け、必死に逃走を図る過程で、とっさにそのような行動を選択した場合には、著しく不自然、不相当であったとはいえず、同様の刑事事件の判例では、被告人らの暴行と被害者の死亡との間の因果関係を認めています。

Aは殺意をもって被害者の左眼付近を蹴りつけたところ、通常であれば全治10日程の傷を負わせました。たまたま被害者が脳梅毒にかかっていたため、死亡してしまった場合に、刑事事件における殺人罪が成立しますか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
刑事事件の被害者がたまたま脳梅毒であったため死亡したという場合でも、そもそも暴行がなければ死亡の結果は生じなかった以上、暴行と死亡の間に因果関係は認められ刑事事件における殺人罪が成立します。

1人目の犯人Aが被害者を殴り、被害者の血圧を上昇させ内因性高血圧性橋脳出血を発生させて意識消失状態に陥らせた後に、資材置き場まで運搬し、同所に放置して立ち去りました。その後、2人目の犯人Bがさらに被害者を殴ったため、既に発生していた内因性高血圧性橋脳出血を拡大させ死亡させました。2人目の犯人Bの行為は、被害者の死期を若干早めたものでした。1人目の犯人Aに刑事事件における殺人罪が成立しますか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
1人目の犯人Aの暴行によって刑事事件の被害者の死因となった傷害が形成されています。2人目の犯人Bの暴行によって死期が早められたとしても、1人目の犯人Aの暴行と刑事事件の被害者の死亡との間の因果関係を肯定することが出来ます。

刑事事件における殺人罪と、殺人関与罪(自殺関与罪・同意殺人罪)はどのように区別されるのですか?

死についての完全な合意・同意がなければ原則として刑事事件における殺人罪が成立します。

ヤクザ社会の不義理をはたらいた被害者が、兄貴分Aに「死んでもらわねば・・・」と言われたので、「わかっております」と答えました。これを受けて兄貴分Aが被害者を殺害した場合に兄貴分Aは刑事事件における殺人ですか?同意殺人ですか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
この場合の刑事事件の被害者の「わかっております」との返答は、責任の重さを承知しているというだけであって、自分が死ぬことについての真意に基づく同意とはいえません。

Aは被害者が多額の報酬を支払うので、究極のSMプレイとして自分の下腹部をナイフで刺して欲しいと依頼され、実行し被害者を死亡させました。この場合は刑事事件における殺人ですか?同意殺人ですか?

Aには同意殺人罪が成立する可能性があります。
仮に刑事事件の被害者はSMプレイとして快感を得ることを目的とし、死の結果を望んでいなかったとしても、ナイフで下腹部を突き刺す行為が死に結びつくことは十分認識していたはずです。よって、真意に基づいて殺害を嘱託したものといえます。

Aが復縁を迫って前妻に断られ、同女の首筋に包丁を押し付けて「一緒に死んでくれるか」と聞いたところ同女が震えながら「わかった」と言って首を縦に振った場合。これを見て、前妻を殺害した場合は、刑事事件における殺人ですか?同意殺人ですか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
刑事事件の被害者女性は、首筋に包丁を押し付けられて尋ねられている状況ですので、断ったら殺されるという恐怖で、その場を取り繕うために同意したにすぎず、自分が死ぬことを真意に同意したとはいえません。

家庭内暴力を振るう次男に対して、母親が「家族のために死んで」と言ったところ、次男が「わかった。死んでやる」と言いました。これを聞いた長男Aが、次男の持っていたナイフを奪い取って、次男を刺殺した場合、長男Aの行為は刑事事件における殺人ですか?同意殺人ですか?

Aには殺人罪が成立する可能性があります。
この場合の次男の「わかった。死んでやる」との発言は、いわゆる売り言葉に買い言葉であって、真意に基づく同意とはいえません。

心中することを双方が合意して、お互いに自分で毒を飲んで自殺する場合には、刑事事件における罪になるのですか?

両者とも自殺関与罪が成立します。
ただし、双方が死んでしまった場合には罪に問うことができませんので、合意による心中は、死にきれなかった場合に、生き残った者の罪責として問題になります。

心中することを双方が合意して、お互いに相手を刺し違えて死ぬ場合は、刑事事件における罪になるのですか?

両者とも同意殺人罪が成立します。
ただし、双方が死んでしまった場合には罪に問うことができませんので、合意による心中は、死にきれなかった場合に、生き残った者の罪責として問題になります。

Aには死ぬ意思がないにも拘わらず、自分も後から死ぬから、心中しようと相手を唆し、相手が心中のつもりで自殺した場合、Aは刑事事件における殺人罪になりますか?

追死の意思がないのに、刑事事件の被害者を欺き、Aも追死するものと誤信させて毒薬で自殺させたときは、刑事事件における殺人罪にあたるとされています(最判昭33.11.21)

死の意味を理解できない子供に対して、「気持ち良くなるよ」と唆して子供に首を吊らせ死亡させる行為は、刑事事件における殺人罪ですか殺人関与罪ですか?

殺人罪が成立します。
行為者本人が直接手を下さずに第三者や被害者の行為を利用する場合を間接正犯といいます。この場合であっても刑事事件における殺人罪は成立します。
刑事事件の判例では、被害者が通常の意思能力もなく、自殺の何たるかを理解せず、しかも被告人の命ずることには何でも服従するのを利用して、溢首の方法を教え、溢首させて死亡するに至らせたときは、殺人罪にあたるとしています(最判昭33.11.21)

Aは一人暮らしの老人から借金をしたが返済のめどが立たなかったので、老人に対して、あなたは警察に逮捕されてしまうから、自殺する以外に方法がないと騙して、自殺させた場合、刑事事件における殺人罪ですか?殺人関与罪ですか?

殺人罪が成立します。
刑事事件の被害者は自殺していますが、Aが騙して被害者を自殺に追い込んでいるため、被害者の行為を利用した殺人行為となります(最判昭59.3.27、最判平16.1.26)。

Aが自動車の転落事故を装い被害者を自殺させて保険金を取得する目的で、被害者を車ごと海中に飛び込みさせました。被害者は、本当は自殺するつもりはなかったものの、Aに対して極度に畏怖して服従していたため、Aに攻め立てられて飛び込む以外に逃げ道がないと判断しての行為でした。Aには刑事事件における殺人罪が成立しますか?殺人関与罪でしょうか?

殺人罪が成立します。
刑事事件の被害者には自殺するつもりはなかったので、Aには被害者の行為を利用した殺人行為とはいえませんが、被害者が取らざるを得なかった行為が車ごと海中に転落するという危険極まりない行為であって、死の現実的危険性が生じていますのでAには殺人罪が成立します。
同様の判例で、被害者が水没前に車内から脱走して死亡しなかった事案において、Aに殺人未遂罪の成立を認めています(最決平16.1.20)。

不治の病で死期が迫っている家族に殺してほしいと懇願され殺害した場合に、刑事事件における殺人罪になりますか?

殺人関与罪が成立する可能性があります。
ただし情状として、量刑には反映される可能性が大きいです。

刑事事件において殺人罪が成立するには故意が必要です。殺人罪の故意とは、行為の客体が人であることを認識しつつ、殺人行為によって被害者の死の結果が発生するおそれがあることを認識していれば足ります。

もし相手方が提示した報酬金額が意に満たないときには殺そうと考えていた場合でも刑事事件における殺意が認められますか?

条件付故意でも、殺意が認められます(大判大14.12.1)。

クロロホルムを吸引させて失神させた上(第1行為)、自動車ごと海中に転落させて(第2行為)溺死させるよう計画・実行したところ、クロロホルムを吸引させた行為により被害者が死亡していた場合刑事事件における殺人罪は成立しますか?

殺人罪が成立します。
計画では第2行為で殺害するつもりであっても、刑事事件における殺人の故意は認められます(最決平16.3.22)。

刑事事件における殺人ないし同未遂事件の大半は、公判で殺意の有無が争点となります。
殺意が認定されなければ、
暴行又は傷害の故意があっても殺人罪(死刑又は無期若しくは5年以上の懲役)は傷害致死罪(3年以上の有期懲役)となり、
殺人未遂罪(殺人罪の刑を減軽)は傷害罪(15年以下の懲役又は50万円以下の罰金)となります。
その法定刑の差は大きいばかりでなく、実際に言い渡される刑期にも格段の違いがあります。

人を殺害してしまいましたが、殺意はなかったと主張し続ければ刑事事件における殺人罪にはなりませんか?

故意が内心の問題であるからといって、刑事事件の被告人の自白のみで判断することはありません。
被告人と被害者との関係、犯行の動機、犯行の態様、凶器の種類・形状・用法、傷害の部位・程度、犯行時及び犯行前後の被疑者の言動等の客観的な事実を分析して、当該行為の「死を惹起する蓋然性」の認識を基本に、傷害致死罪との限界が吟味されます。
例えば、ナイフを使用して人を刺した場合であれば、ナイフの刃体の長さが長ければ殺傷能力が高いとされて殺意有りの認定を受けやすいです。他にも、刺した部位が急所や急所の近くであるか、傷の深さはどうか等です。刺した後に手首を回して内臓の損傷を大きくした場合などは殺意有りと認定されやすくなります。

人を橋の上から川に投げ込んで殺害しました。しかし殺意はなかったと主張すれば刑事事件における殺人罪にはなりませんか?

殺人罪が成立します。
橋の上から川に投げ込むという行為の認識があれば、通常一般人の感覚で川に人を投げ込めば死の現実的危険性があるといえるので殺意有りと認定されます。

職務質問から逃げようとしたところ、警察官がボンネットにしがみついたので、蛇行運転、急停車等を反復して、警察官を路上に転落させた場合、殺意はなかったと主張すれば刑事事件における殺人罪にはなりませんか?

殺人罪が成立します。
ボンネットにしがみついた人を振り落とすような行為をすれば、一般の感覚であれば死の現実的危険性が認められます。行為の認識さえあれば殺意は認められます。

殺人を犯してしまっても刑事事件において無罪になることはありますか?

(1)正当防衛と認められた場合と、(2)犯行時に心神喪失の状態にあったと認定された場合には刑事事件において無罪になります。

(1)正当防衛について

刑法第36条は
Ⅰ 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
Ⅱ 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
と規定しています。
正当防衛が成立するためには、①急迫不正の侵害に対し、②防衛の意思を持って、③やむを得ずにした行為(行為の相当性)が要件とされます。
例えば、相手が包丁で切りかかってきたので、反撃して突き飛ばしたら相手が倒れて死亡したような場合には、正当防衛として無罪になります。
ただし、相手が素手でなぐりかかってきたのに対して、包丁で反撃して刺し殺してしまったような場合には、正当防衛としての度合いを超えたものとして過剰防衛となり、必ず無罪となるわけではなく、減軽されるか免除となる可能性があります。

(2)心神喪失について

刑法第39条は
Ⅰ 心神喪失者の行為は、罰しない。
Ⅱ 心神耗弱者の行為は、その刑を減軽する。
と規定しています。
1項の心神喪失者とは、精神の障害により、行為の是非を弁識し、またはその弁識に従って行動する能力のない者をいいます。心神喪失者は処罰されません。
2項の心神耗弱者とは、精神の障害により、行為の是非を弁識し、又はこの弁識に従って行動する能力の著しく低い者をいいます。心神耗弱者は刑を減軽されます。
心神喪失ないし心神耗弱が問題となるのは、精神病、精神病質(異常性格者)、薬物中毒、飲酒酩酊、低知能等があります。その病状(状態)・程度は多種多様である上、専門家の鑑定を要することが多いです。

人を殺害しようと決意して、勢いをつけようと酒を飲んだところ酩酊してしまい心神喪失状態で当初の思惑どおり人を殺害しました。刑事事件における殺人罪は成立しますか?それとも39条が適用されて無罪になりますか?

殺人罪が成立します。
心神喪失する以前に明確な殺意があり、殺害を容易にするために景気付けで酒を飲んだにすぎず。結果的に酩酊しただけであって、39条は適用されません。

酒癖の悪い人間が、酔えば人を殺してしまうかもしれないと思いつつ酒を飲み、酩酊状態に陥って案の定人を殺した場合に刑事事件における殺人罪は成立しますか?それとも39条が適用されて無罪になりますか?

殺人罪が成立します。
故意または過失により自己を責任無能力(または限定責任能力)の状態に陥れて犯罪結果を生じさせた場合には39条は適用されません。

脳死した人から臓器を取るのは刑事事件における殺人罪にならないのですか?

法律の要件を満たしていれば、臓器移植の範囲では刑事事件における殺人罪は成立しません。
臓器の移植に関する法律(平成9年7月16日公布)の第6条1項は、「医師は、死亡した者が生存中に臓器を移植術に使用されるために提供する意思を書面により表示している場合であって、その旨の告知を受けた遺族が当該臓器の摘出を拒まないとき又は遺族がないときは、この法律に基づき、移植術に使用されるための臓器を、死体(脳死した者の身体を含む)から摘出することができる」と規定し、脳死体からの臓器移植を正当化しました。

脳死した人の心臓にナイフを刺して心停止に至らしめ殺害しました。刑事事件における殺人罪になりますか?

殺人罪が成立することが考えられます。
臓器移植の範囲において、臓器の移植に関する法律により本人と遺族の同意が得られ臓器摘出されることとなる者につき厳格な基準により脳死と判定された場合は、その時点から、殺人罪の客体である「人」ではなくなります。しかし、臓器移植を前提としない場合には、死亡時点は明確に心臓が停止した時点とされており、脳死体は、なお殺人罪の客体としての人である余地があります。質問のような場合には刑事事件における死体損壊罪ではなく殺人罪が成立すると考えられます。
裁判例(大阪地判平5.7.9)によると、被害者の眉間部を右手げん骨で1回殴りつけるなどの暴行を加えて鼻骨骨折を伴う打撲傷を負わせ、脳損傷により死亡せしめたのであるが、心臓停止20分前に被害者が脳死状態に陥り被害者の家族の同意の下臓器移植のために臓器を摘出する等のため医師が人口呼吸器を停止させていたという事案に関し、傷害による心臓死を認定して有罪としました。

安楽死させた場合には刑事事件における殺人にはなりませんか?

極限的な場合には安楽死を認めるべきとする裁判例の判断はあります。
例えば、名古屋高判昭37.12.22は、安楽死の要件として、
①病者が現代医学の知識と技術からみて不治の病に侵され、しかもその死が目前に迫っていること、
②病者の苦痛が甚だしく、何人も真にこれを見るに忍びない程度のものなること、
③もっぱら病者の死苦の緩和の目的でなされたこと、
④病者の意識がなお明瞭であって意思を表明できる場合には、本人の真摯な嘱託または承諾のあること、
⑤原則として医師の手によること
⑥方法が倫理的に妥当なこと
があげられています。

殺人に使うつもりでナイフを準備するだけでも刑事事件における罪になりますか?

殺人予備罪が成立します(201条)

料理に使うつもりでナイフを準備するのも刑事事件における殺人予備罪になりますか?

殺人予備罪(201条)が成立するためには、殺人罪を犯す目的で予備行為をすることが必要です。料理に使うためなら成立しません。

具体的にどのような行為が刑事事件における殺人予備罪となりますか?

刀剣・銃器・毒薬等の殺害用具の入手、車等の移動・連絡手段の調達・入手等の有形的行為に限らず、被害者方の下見、犯行計画の立案等の無形的行為も含まれます。

【参考】
第199条(殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

第201条(予備)
第199条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、2年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。

第202条(自殺関与及び同意殺人)
人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、6月以上7年以下の懲役又は禁錮に処する。

第203条(未遂罪)
第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

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