よくある質問まとめ

03-5532-1112

警察から呼び出された方の無料相談
電話 10分無料/来所 30分無料

罪名別Q&Aよくある質問まとめ

偽造Q&A

通貨偽造の罪(148~153)
文書偽造の罪(154~161の2)
有価証券偽造の罪(162~163)
支払用カード電磁的記録に関する罪(163の2~163の5)
印章偽造の罪(164~168)

通貨偽造の罪
刑事事件における通貨偽造罪の行為は、行使の目的で、偽造または変造することです

刑事事件における「偽造」と「変造」とはそれぞれどのような行為ですか?

刑事事件における「偽造」とは、通貨発行権限を有しない者が、一般人が見た時に真正な通貨(真貨)と誤信させるような外観のものを作り出すこと

刑事事件における「変造」とは、通貨発行権限を有しない者が、真正な通貨(真貨)に加工してその価値を偽ること(ex.銀行券の番号を変える、通貨の中味をくり抜くなど)

ちなみに、刑事事件における「模造」とは、真貨に類似しているが、一般人でも注意して見れば偽物であると気が付く外観のものを作成すること

8枚の千円札からその一部ずつを集めてつなぎ合わせ、1枚にみせかける行為は刑事事件において偽造ですか、変造ですか?

偽造です(広島高判昭30.9.28)

千円札を表と裏に剥がし、これを各2片に切断した後、各々厚紙を挿入し、二つ折りないし四つ折りにして糊づけし、折りたたまれた真正の紙幣に見せかける行為は刑事事件において偽造ですか、変造ですか?

変造です(最判昭50.6.13)

行使の目的で偽造・変造が行われることが必要です

学校の教材として使用する目的で、真貨と誤信させるような外観のものを作りだした場合、刑事事件における偽造になるのですか?

偽造の罪にはなりません。偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で作成したのでなければ刑事事件における偽造罪は成立しません。学校の教材にする目的であればこれには該当しません。

現代アートとして作品に用いようと考え、真貨と誤信させるような外観のものを作りだした場合、刑事事件において偽造になるのですか?

偽造の罪にはなりません。
質問の場合は、真正な通貨として流通に置く目的がないので成立しません。

偽造通貨行使罪
①行使すること、または行使の目的で、②人に交付し、もしくは③輸入すること

偽造通貨をレジで支払いの際に使いました。刑事事件における行使罪になりますか?

偽造通貨行使罪になります。
刑事事件における「行使」とは偽造・変造の通貨を真正な通貨として流通に置くことです。
ちなみに、レジの担当者は真貨であると騙されて品物を渡しているので詐欺罪にもあたりますが、詐欺罪は行使罪に吸収されるとするのが判例です(大判昭7.6.6)

偽造通貨を両替機に入れて両替しました。刑事事件における行使罪になりますか?

偽造通貨行使罪になります。
機械が騙されて錯誤に陥るということはないため刑事事件上の詐欺罪にはならず、窃盗罪が成立します。なお、詐欺罪と同様に窃盗罪についても行使罪に吸収されます。

偽造通貨を自動販売機に入れてジュースを購入しました。刑事事件における行使罪になりますか?

偽造通貨行使罪になります。
機械が騙されて錯誤に陥るということはないため刑事事件上の詐欺罪にはならず窃盗罪が成立します。なお、詐欺罪と同様に窃盗罪についても行使罪に吸収されます。

偽造通貨をギャンブルの賭金として使用する場合は刑事事件における行使罪になりますか?

偽造通貨行使罪になります。
本人が賭けに勝った場合には賞金が支払われます。これは相手方が偽造通貨の賭金を真貨であると騙されて支払っていますので詐欺罪にもあたりますが、刑事事件上の詐欺罪は行使罪に吸収されるとするのが判例です(大判昭7.6.6)

偽造通貨を他人に無償であげました。贈与でも刑事事件における行使罪になりますか?

刑事事件における偽造通貨行使罪になります。
贈与の場合にも流通に置いたことになります。

偽造通貨を他人に贈与しましたが、相手方に怪しまれて後日返還されてしまいました。この場合には刑事事件における行使罪にはなりませんか?

刑事事件における偽造通貨行使罪になります。
贈与した時に流通に置いたこととなり、その時点で既遂になっていますので、後に返還された場合でも刑事事件の犯罪の成否に影響はありません。

契約の際に、自分の財力を信用させるために偽造通貨の札束を示す行為は刑事事件における行使罪になりますか?

刑事事件における偽造通貨行使罪になりません。
行使罪が成立するためには流通に置くことを必要とするので、この場合には流通に置くものではなく刑事事件における行使罪は成立しません。

偽造通貨をペンダントとして販売する場合は刑事事件における行使罪になりますか?

刑事事件における偽造通貨行使罪になりません。
行使罪が成立するためには、「真正の通貨として」流通に置くことが必要ですので、偽貨を商品として売却したり、偽貨で装飾品を作って売却・贈与しても刑事事件上の行使罪は成立しません。

学校の教材用に作成した偽札をレジで使いました。教材使用の目的なら偽造にならないので、この場合も刑事事件における行使罪にはなりませんか?

刑事事件における偽造通貨行使罪になります。
刑事事件における行使罪については、偽貨は行使の目的で偽造・変造したものである必要はありません。また、だれが偽造・変造したものであるかも問いません。

店で買い物をしておつりをもらい、帰宅後確認したところ、おつりの中に偽札が入っていました。次の買い物の支払の際に真札に紛れさせて使用した場合に刑事事件における偽造通貨行使罪になりますか?

刑事事件における収得後知情行使等罪(152条)になります。
偽札を受け取ってしまった場合には、警察に届けるべきです。しかし、警察に届けても真札に換えてくれるわけではないので、その分損をしてしまうことになります。そこで、ついババ抜きのように、次のだれかに偽札をつかませようと使ってしまうことは、違法行為ではあるものの人情としては理解できるものです。
そこで、適法行為の期待可能性が低いとして、収得後知情行使等罪として特に軽く処罰しています。
具体的には、その額面価格の3倍以下の罰金又は科料に処するとしています。ただし、2000円以下にすることはできません。

有価証券偽造の罪

刑事事件において有価証券偽造罪の客体となる有価証券は具体的にどのようなものが対象となりますか?

刑事事件における「有価証券」とは、財産権を表章した証券であって、その表示された権利の行使または処分のために、その証券の占有を必要とするものを言います。
【有価証券にあたるもの】
公債証券(国債・地方債等)、官庁の証券(郵便為替証券等)、手形、小切手、会社の株券、社債券、貨物引換証、倉荷証券、船荷証券、預証券、鉄道乗車券、商品券、宝くじ、馬券、クーポン券、入場券

【有価証券にあたらないもの】
郵便貯金通帳、契約証書、無記名定期預金証書、下足札、手荷物預り証、ゴルフクラブ入会保証金預託書、収入印紙、郵便切手

アイドルのCD1枚につき1枚の握手券が封入されていたので、握手券のみを偽造しました。刑事事件における有価証券偽造になるのでしょうか?

刑事事件における有価証券偽造になります。
平成22年の裁判例において、質問と同様の刑事事件について握手券を有価証券として認定しています。

他人振出名義の小切手の金額欄の数字を改ざんした場合は刑事事件において偽造ですか、変造ですか?

変造にあたります(最判S36.9.26)

宝くじの番号を当選番号に改ざんした場合は刑事事件において偽造ですか、変造ですか?

偽造にあたります(福岡高判昭26.8.9)

文書偽造の罪

文書偽造の客体となる物には文書性が必要です。

刑事事件における文書性とは、以下の4つが要件となります。
①文字または文字に代わるべき発音的不号を用いて表示されたものであること。
○該当するもの
盲人用点字、電信符号、速記用符号等
×該当しないもの
レコード、録音テープ等

②ある程度永続すべき状態において物体上に表示されたものであること。
○該当するもの
紙・布・木板・陶器・金属板にかかれたもの
×該当しないもの
砂上の文字

③文書の内容は一定の意味をもち、客観的に理解されうるものであること。
×該当しないもの
番号札、下足札、名刺、門札等

④法律上または社会生活上、重要な事項について証拠となりうるものであること
×該当しないもの
小説、詩歌、芸術作品としての書画
単に当事者間においてのみ通用するにすぎない文書、合札、番号札等

具体例

○権利・義務に関する文書にあたるもの
借用証書(大判大4.9.2)
送金依頼の電報頼信紙(大判大11.9.29)
○事実証明に関する文書にあたるもの
郵便局に対する転居届(大判大44.10.23)
書画の真筆性を記載した箱書(大判大2.3.27)
議員候補者の推薦状(大判大6.10.23)
新聞に掲載された広告文(最決昭33.9.16)
大学入学選抜試験答案(最決平6.11.29)

刑事事件における「偽造」とは、作成権限を有しない者が、他人の名義を冒用して文書を作成することです。つまり、文書の作成名義人と作成者が一致しないことです。

【私文書偽造罪】

作成名義人と作成者が一致していない場合 →処罰されます
作成名義人と作成者は一致しているが、内容に虚偽がある場合 →処罰されません

【公文書偽造罪】

作成名義人と作成者が一致していない場合 →処罰されます
作成名義人と作成者は一致しているが、内容に虚偽がある場合 →処罰されます

刑事事件における「変造」とは、作成権限を有しない者が、真正に成立した他人名義の文書の非本質的部分に変更を加えることをいいます。

*「偽造」の例
公文書
・郵便貯金通帳の記号・番号・貯金者名義・預入・払戻額欄の記載を抹消し、異なった記載をした場合(大判大15.5.13)
・外国人登録証に貼付された写真をはがして別人の写真と貼りかえた場合(最決昭31.3.6)
・他人に交付された自動車運転免許証の写真を貼りかえ生年月日を改ざんした場合(最決昭35.1.12)
私文書
・講金借用証書の金額・講名・発起人名・弁済期限に改変を加えた場合(大判昭7.9.9)
・村役場備え付けの印鑑簿中の他人の印鑑の上に偽造の印鑑を重ねて押印した場合(大判昭9.10.22)

*「変造」の例
公文書
・郵便貯金通帳の貯金受入・払戻年月日を改ざんした場合(大判昭11.11.9)
・登記済証に記載された抵当権欄の登記順位の番号を変更した場合(大判昭8.7.8)
私文書
・有効な借用証書の金額の側に別個の金額を記入した場合(大判明44.11.9)
・株式取引所取引員から客にあてた買付長期清算取引報告書中の株数の記載を変更した場合(大判昭11.1.30)

匿名の文書でも刑事事件上の文書偽造罪の対象になりますか?

対象になりません。
名義人が存在しないか、誰であるか判明しえないものであれば、その真正を保護する必要がないので文書とは言えません。

会社が作成名義の文書の場合でも刑事事件上の文書偽造罪の対象になりますか?

対象になります。
作成名義人が存在すればよいので、自然人でも、法人でも、法人格のない団体の文書でも、刑事事件上の文書偽造罪の対象となります。

町内会が作成した文書の場合でも刑事事件上の文書偽造罪の対象になりますか?

対象になります。
町内会は法人格のない団体に該当しますが、作成名義人が存在すればよいので、自然人でも、法人でも、法人格のない団体の文書でも、刑事事件上の文書偽造罪の対象となります。

死亡者名義の文書は刑事事件上の文書偽造罪の対象になりますか?

対象になります。
名義人は具体的に特定していることが必要です(大判昭37.7.14)。しかし、一般の人が真正な文書と信じるものであれば名義人が実在しなくてもかまいません。
死亡者や架空人名義のものでも該当します。
ただし、明らかに存在しない者の名義であるとわかるものは文書に該当しません。

名義人と作成者とが一致している文書を「真正文書」
名義人と作成者とが一致していない文書が「不真正文書」または「偽造文書」
真正文書であるが内容が真実に反するものが「虚偽文書」

コピーについても刑事事件上の文書偽造罪における文書ということができますか?

できます。
コピーについての作成名義人は原本作成名義人であるとされています。

公文書の内容に改ざんを加えた上、それをファクシミリで送信し、受信先のファクシミリで印字させて公文書の写しを作成した場合、ファクシミリによる写しについて文書偽造罪における文書ということができますか?偽造文書を作成したのは相手方のファクシミリによるので、この場合は刑事事件上の偽造文書とはいえないのではないでしょうか?

文書偽造罪の文書ということができます。

国際運転免許証の発給権限はないが実在の団体である「国際旅行連盟」の委託を受けて、「国際旅行連盟」作成とする国際運転免許証に酷似した文書を作成した場合、刑事事件上の文書偽造の罪が成立しますか?

文書偽造の罪が成立します。
作成名義人も作成者も「国際旅行連盟」であるため同一性に偽りはないようですが、文書について社会的信用性を基礎づけるという観点から、この場合に名義人は『国際旅行連盟』でなく、「国際運転免許証の発給権限を有する団体である国際旅行連盟」であると解するべきで、有印私文書偽造罪が成立します。

弁護士資格を有しないAが、自己と同姓同名である弁護士Aが実在することを利用して、「弁護士A」名義で「弁護士報酬請求について」と題する書面等を作成し、弁護士の肩書を付けた署名を行った場合に偽造の罪は成立しますか?AがA名義で作成した文書であって刑事事件上の偽造罪にはならないのではないでしょうか?

私文書偽造罪、同行使罪が成立します。
たとえ名義人として表示された者の氏名が刑事事件の被告人の氏名と同一であったとしても、本件各文書が弁護士としての業務に関連して弁護士資格を有する者が作成した形式、内容のものである以上、本件各文書に表示された名義人は弁護士Aであって、弁護士資格を有しない被告人とは別人格の者である。よって、人格の同一性を偽ったものとして刑事事件上の私文書偽造罪、同行使罪が成立します。

Bは代理権を有しないのに「A代理人B」とする文書を作成しました。この場合Bには刑事事件上の文書偽造の罪が成立しますか?

本件文書の作成名義人は代理人Bであり、作成名義を偽っておらず、代理権があるように偽った点に内容の虚偽があるにすぎないのでしょうか?
私文書偽造罪が成立します。
刑事事件の判例は、代理人作成の文書の法律的効果は本人Aに帰属するものであることから、公衆はその文書が本人Aの意思を表示した文書として信用するものと考えます。よって、名義人は本人Aと解すべきであり、Bがこれを偽れば、刑事事件上の私文書偽造罪が成立します。

学校法人の理事の登記をされていた被告人らは、権限がないにもかかわらず理事長選任を内容とする虚偽の「理事会決議録」なる文書を偽造し、末尾に「理事録署名人A」と記名し押印した場合、刑事事件上の文書偽造の罪は成立しますか?

代理・代表資格を用いた冒用も偽造罪が成立するので、刑事事件として私文書偽造罪が成立します。

大学入試の際に替え玉受験をした場合刑事事件として私文書偽造罪になるのですか?

私文書偽造罪になります。
入学選抜試験の答案はそれ自体で志願者の学力を示す資料となり、これを基に合否の判定が行われ、合格の判定を受けた志願者が入学を許可されるのであるから、志願者の学力の証明に関するものであって、刑事事件として私文書偽造罪の客体となる事実証明に関する文書であると言えます。

代理権を有していたが、その地位を濫用して単に自己の利益を図る目的で本人の商号を用いて文書を作成したときには刑事事件として文書偽造の罪は成立しますか?

成立しません。
代理・代表権を有する者がその地位を濫用して代理・代表名義の文書を作成したときは、当該文書は私法上有効なものであり、刑事事件上文書偽造罪は成立しません。

名義人を騙すか脅迫して文書を作成させた場合には刑事事件として文書偽造罪は成立しますか?

(1)AがB名義の契約書を無断で作成し、Bには何の文書か内容を知らせずに署名させた場合。
(2)AがB名義の契約書を無断で作成し、Bには国への要望書だと偽って署名させた場合。
(3)AがBに対して、本当はないにも拘わらずBはAに対して借金があると欺き、借用証書の内容を認識させて署名させた場合。

(1)(2)文書偽造罪になります。
作成者本人を利用した文書偽造罪の間接正犯となります(大判大12.12.15)
(3)文書偽造罪は成立しませんが、詐欺罪が成立します。
名義の真正を誤信させていないため、文書偽造罪にはなりません。しかし、欺罔行為(騙す行為)によって錯誤に陥れ財物等を騙取しているから、刑事事上詐欺罪が成立します。

運転免許停止処分を受けた被告人は、Bから交通取締の際にはBの氏名を称することをあらかじめ同意を得ていたところ、無免許運転で取締りを受けたため、交通事件原票中の供述書欄の末尾に、Bの氏名を書いたという場合、刑事事件として文書偽造の罪は成立しますか?

私文書偽造罪が成立します。
通常、名義人の承諾のもとに作成された文書は、名義の冒用が認められず、原則として私文書偽造罪の構成要件に該当しません。
しかし、交通事件原票中の供述書は、その文書の性質上、作成名義人以外の者がこれを作成することは法令上許されないものです。名義人の承諾の下に作成した場合でも、刑事事件として私文書偽造罪が成立します。

日本に密入国した被告人(本名A)は、長年にわたり他人名Bを勝手に使用し通称として定着させていた。当該通称名Bを使用して再入国許可申請書を作成した場合、刑事事件として文書偽造の罪は成立しますか?

私文書偽造罪が成立します。
再入国の許可を申請するにあたっては、当然に本名を用いて申請書を作成することが要求されています。この性質に照らすと、本件文書に表示されたBの氏名から認識される人格は、適法に本邦に在留することを許されているBであって、密入国をし、なんらの在留資格をも有しない被告人Aとは別の人格であることは明らかです。刑事事件の判例も、20年以上通称名を使い、定着していた場合であっても私文書偽造罪の成立を認めました。

Aは、就職の際に、虚偽の氏名、生年月日、住所、経歴等を記載し、自己の顔写真を貼付した履歴書および雇用契約書等を作成して提出した場合、刑事事件として文書偽造罪が成立しますか?

私文書偽造、同行使罪が成立します。
履歴書や雇用契約書の性質、機能等に照らすと、たとえ刑事事件の被告人の顔写真が貼り付けられていたとしても、これらの文書に表示された名義人は、刑事事件の被告人とは別人格の者であることが明らかであり、名義人と作成者との人格の同一性に齟齬を生じさせたものといえます。したがって、有印私文書偽造、同行使罪が成立します。

Aは、Bに対し、報酬を受けることを条件として一般旅券発給申請書に自己の名義の使用を承諾した。Bは一般旅券発給申請書にA名義を使用したという場合、刑事事件としてB及びAには文書偽造罪の共犯が成立しますか?

A・B両者に文書偽造罪の共犯が成立します。
一般旅券発給申請書は、その性質上名義人の自署が必要なので、名義の使用許諾があった場合でも文書偽造罪が成立します。A名義で署名をしたBに文書偽造罪が成立するのは当然です。
さらに、本件犯行の実現のためにはAの関与が不可欠であるため、偽造計画の役割が中心的なものか、報酬額が高額なものか検討し、中心的役割で高額な報酬なら、幇助犯ではなく共謀共同正犯が成立するとされました。

高校の教諭Aは、同校を中途退学したBから、同校卒業を装いその父親を満足させるためだけに使用するとして、卒業証書の偽造を懇請されたので、高校長C名義の卒業証書を偽造し、Bがこの偽造した卒業証書を父親に示した場合刑事事件として文書偽造罪は成立しますか?

父親を満足させる目的のみで作成、提示したものであって、相手方とは何の利害関係はないとはいっても、相手方が社会生活上なんらの行為に出る可能性がないとは言えないので、虚偽公文書行使罪は成立します。

偽造の運転免許証を運転中に携帯していただけでも、刑事事件における罪になりますか?

偽造公文書行使罪は成立しません。
刑事事件における「行使」があったというためには、文書を他人の閲覧に供しその内容を認識しうる状態に置いたことが必要です。

公文書偽造罪 および 虚偽公文書作成罪

刑事事件における「公文書偽造罪」
行使の目的で、公文書・公図画を、偽造または変造することです。
刑事事件における「虚偽公文書作成罪」は、
作成権限ある公務員が、行使の目的で、公文書に、虚偽の記載をすることです。

上司を困らせようとして、公務員が退職届を作成した場合は刑事事件として虚偽公文書作成罪が成立しますか?

虚偽公文書作成罪は成立しません。

公文書とは、公務所・公務員が、職務に関し、所定の形式に従って作成すべき文書をいいます。退職届は公文書ではありません。

作成権限ある公務員が、有効期限が既に経過している運転免許証を作成した場合は、刑事事件において罪になりますか?

罪になるでしょう。

有効期限が切れたものであっても、一見して真正な運転免許証と誤信するようなものを作成した場合には刑事事件における公文書偽造罪が成立します。

作成権限ある公務員が、全面に斜線の引かれた運転免許証を作成した場合は刑事事件において罪になりますか?

罪になりません。

記載内容自体から本来の用法上有効な文書であるとの外観を呈していることは要件とされません。しかし、全面に斜線の引かれたもののように記載内容からみて本来の用法としては無効であることが明らかである文書を作成した場合には行使の目的が否定されますので刑事事件における偽造罪は成立しません。

作成権限ある公務員Aが、事情を知らない公務員Bを利用して作成させた場合は刑事事件における虚偽公文書作成罪になりますか?

Aには虚偽公文書作成罪が成立します。(具体的には、Aは虚偽公文書作成罪の間接正犯になります。)

作成権限のない公務員A、または非公務員Aが、事情を知らない作成権限ある公務員Bを利用して作成させた場合にAは刑事事件において罪になりますか?

Aは罪になりません。

ただし、刑事事件における公正証書原本不実記載罪(157条)のみ成立します。

作成権限はないが、補佐役の公務員Aが、事情を知らない作成権限ある公務員Bを利用して作成させた場合にAは刑事事件において罪になりますか?

Aには虚偽公文書作成罪が成立します。(具体的には、Aは虚偽公文書作成罪の間接正犯になります。)

公正証書原本不実記載罪(157条)

刑事事件においてこの法律に該当するのはどのような文書ですか?

権利・義務に関する公正証書の原本または権利・義務に関する公正証書の原本たるべき電磁的記録、および免状・鑑札・旅券です。

刑事事件において公正証書の原本とはどのような書面が該当しますか?

公正証書の原本とは、公務員がその職務上作成する文書で、権利・義務の得喪・変更に関する事実を公的に証明する効力を有するものをいいます(大判大11.12.22)
○権利・義務に関する公正証書にあたるもの
公証人作成の公正証書(大判明41.11.8)
戸籍簿(大判明43.2.8)
不動産登記簿(大判明43.11.8)
商業登記簿(大判大13.4.29)
住民票(最決昭48.3.15)
×権利・義務に関する公正証書に当たらないもの
電話加入申込原簿(大判明45.2.1)
自動車検査証(大阪高判昭30.6.20)
各種課税台帳(名古屋高金沢支判昭49.7.30)

刑事事件において公正証書の原本たるべき電磁的記録にあたるものにはどのようなものがありますか?

自動車登録ファイル(最決昭58.11.24)
住民基本台帳ファイル

刑事事件における「免状」「鑑札」にはどのようなものが該当しますか?

「免状」には、自動車運転免許証、医師免許証などが、
「鑑札」には、犬の鑑札、古物商の許可証などがあります。

【参考】

通貨偽造の罪

第148条(通貨偽造及び行使等)
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行等を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

第149条(外国通貨偽造及び行使等)
行使の目的で、日本国内に流通している外国の貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 偽造又は変造の外国の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。

第150条(偽造通貨等収得)
行使の目的で、偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を収得した者は、3年以下の懲役に処する。

第151条(未遂罪)
前3条の罪の未遂は、罰する。

第152条(収得後知情行使等)
貨幣、紙幣又は銀行券を収得した後に、それが偽造又は変造のものであることを知って、これを行使し、又は行使の目的で人に交付した者は、その額面価格の3倍以下の罰金又は科料に処する。ただし、2千円以下にすることはできない。

第153条(通貨偽造等準備)
貨幣、紙幣又は銀行券の偽造又は変造の用に供する目的で、機械又は原料を準備した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。

文書偽造の罪

第154条(詔書偽造等)
行使の目的で、御璽、国璽若しくは御名を使用して、詔書その他の文書を偽造し、又は偽造した御璽、国璽若しくは御名を使用して詔書その他の文書を偽造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
2 御璽若しくは国璽を押し又は御名を署した詔書その他の文書を変造した者も、前項と同様とする。

第155条(公文書偽造等)
行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。
2 公務所又は公務員が押印し又は署名した文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前2項に規定するもののほか、公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は公務所若しくは公務員が作成した文書若しくは図画を変造した者は、3年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。

第156条(虚偽公文書作成等)
公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前2条の例による。

第157条(公正証書原本不実記載等)
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。

第158条(虚偽公文書行使等)
第154条から前条までの文書若しくは図画を行使し、又は前条第1項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

第159条(私文書偽造等)
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2 他人が押印し又は署名した権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を変造した者も、前項と同様とする。
3 前2項に規定するもののほか、権利、義務又は事実証明に関する文書又は図画を偽造し、又は変造した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

第160条(虚偽診断書等作成)
医師が公務所に提出すべき診断書、検案書又は死亡証書に虚偽の記載をしたときは、3年以下の禁錮又は30万円以下の罰金に処する。

第161条(偽造私文書等行使)
前2条の文書又は図画を行使した者は、その文書若しくは図画を偽造し、若しくは変造し、又は虚偽の記載をした者と同一の刑に処する。

第161条の2(電磁的記録不正作出及び併用)
人の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を不正に作った者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
2 前項の罪が公務所又は公務員により作られるべき電磁的記録に係るときは、10年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
3 不正に作られた権利、義務又は事実証明に関する電磁的記録を、第1項の目的で、人の事務処理の用に供した者は、その電磁的記録を不正に作った者と同一の刑に処する。
4 前項の罪の未遂は、罰する。

有価証券偽造の罪

第162条(有価証券偽造等)
行使の目的で、公債証書、官庁の証券、会社の株券その他の有価証券を偽造し、又は変造した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 行使の目的で、有価証券に虚偽の記入をした者も、前項と同様とする。
第163条(偽造有価証券行使等)
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、3月以上10年以下の懲役に処する。
2 前項の罪の未遂は、罰する。

ページトップへ