よくある質問まとめ

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刑事訴訟法Q&Aよくある質問まとめ

勾 留

送致とはどういう意味ですか?

「送検」とマスコミで呼ばれる手続きで、事件の取り扱い責任が警察から検察庁に送られることです。

刑事事件を最終的に起訴するのは検察官にしか権限がないために、警察官は検察官に事件を回します。刑事事件のうち、逮捕されている身柄事件では身柄送検、逮捕されていない在宅事件では書類送検といわれています。刑事事件の被疑者が死亡していても書類送検になります。

勾留とは何のことですか?

勾留は、被疑者や被告人の身柄を拘束する処分です。

  • 逮捕後最大72時間以内に検察官によって請求
  • 期間は最大20日間

刑事事件の被疑者の勾留は逮捕後最大72時間以内に検察官によって請求され、最大20日間です。罪を犯したと疑う相当の理由があって、住居不定や証拠隠滅、逃亡のおそれがあると判断した時に検察官が請求し、裁判官が勾留状を発付して決定します。

刑事事件の被告人の勾留は、起訴後に裁判への出廷を確保するために裁判所が行います。被疑者の勾留と違って検察官が請求するものではありません。被疑者勾留がなされたまま起訴がなされると、被疑者勾留は自動的に被告人勾留に切り替わります。罪を犯したと疑う相当の理由があって、住居不定や証拠隠滅、逃亡のおそれがあるときという要件は被疑者の勾留と同様です。勾留期間は2か月で、1か月ずつ更新することがあります。

平成19年度の逮捕された身柄事件のうち検察官が被疑者勾留を請求した割合は93.4%で、検察官が勾留請求した中で裁判官が却下したのはわずか0.7%です。身柄事件はほぼ確実に勾留請求され、勾留が認められるというのが統計上のデータです。

被疑者勾留は多くの場合、拘置所ではなく、警察署内の留置場での代替収容がなされます。刑事事件の実務上、98%以上の被疑者が留置施設に勾留されます。これは最長20日間という限られた留置期間のうちに捜査を終わらせるために刑事がすぐに被疑者を取り調べるのに便利で、被害者や目撃者との面通しや犯行現場への引き当たりにおいて簡便であるからです。弁護士の接見にとっても、時間制限や差し入れ物品の対応などの点で、留置場の方が拘置所よりも柔軟に対応できることがあります。留置施設と拘置所の整備状況が遅れており、拘置所の新設が予算の限界や周辺住民の反対などにより困難であることも、代替収容が必要不可欠である理由ということです。留置施設を担当する係官は、捜査を行う刑事とは組織上区別されています。警察庁によると具体的には、①留置開始時に、処遇面はすべて留置担当官が行い、捜査員は関与しない旨が被留置者に告知されること、②取調べ室は、壁、扉などで明確に区切られた留置施設の外にあり、捜査員が留置施設に入ることは禁止していること、③取調べなどは通常、午前8時30分から午後5時15分に行われるのが一般的であり、留置で決めた就寝時刻を過ぎてもなお取調べが続いている際には、留置部門から捜査部門に取調べの打切り要請を行うこと、④被留置者は留置施設内で食事をし捜査員が取調べ室などで食事を摂らせることはないこと、などの配慮があるそうです。
病気のための入院や親族の危篤や冠婚葬祭、学生の試験などの場合には、勾留の執行停止が認められます。
また勾留の理由や勾留の必要がなくなった場合には、勾留が取り消されます

勾留することは誰が決めるのですか?
勾留すると決めるのは、裁判官です。検察官は勾留して欲しいと請求し、実際に勾留するかどうかは裁判官が決めます。
勾留される場合とはどのような場合ですか?
勾留される場合は、勾留の理由と勾留の必要性がある場合です。
勾留の理由とは、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること、および①被疑者が住所不定か、②罪証隠滅の恐れがあるか、③逃亡の恐れがあるか、のいずれかの事情があるときです。被疑者の黙秘だけでは勾留理由にはなりませんが、罪証隠滅の恐れや逃亡の恐れを推認させることはあります。
勾留の必要性は、事案の軽重、被疑者の年齢、状況を考慮した相当性です。
軽い罪で自白をして反省している場合は勾留されないこともありますが、明らかに勾留の必要性がない事件でも勾留がされる場合もあります。
黙秘している場合は勾留される可能性が高くなりますか?
黙秘の結果、氏名・住所などが不詳であれば、勾留の理由があると判断されますが、黙秘しているが氏名・住所などが判明しているときは、それだけで直ちに勾留の理由があるとはいえないとされています。
否認している場合は勾留される可能性が高くなりますか?
黙秘している場合と同様に、否認しているだけでは直ちに勾留の理由があるとはいえないはずです。そして、罪証隠滅のおそれがある場合とは、たんに抽象的な罪証隠滅の可能性ではなく、罪証隠滅が客観的に可能でありかつ被疑者にその意図が認められるというその具体的可能性がある場合でなければならないとされています。
ただし、被疑者が否認している場合、捜査機関としては事件の全貌が明らかにならないわけであって、もしも被疑者が真犯人であった場合に釈放した後に罪証隠滅、逃亡するのではないかと疑いをもちます。ですので、実際には勾留されてしまう危険性はあります。そこで、弁護人から裁判官に勾留の要件を欠くことを主張することが大きな意味をもつことになります。
勾留されてしまうと、どのくらい身柄を拘束されますか?
勾留請求されてから10日間です。勾留請求がされた日からカウントします。やむを得ない場合にさらに最大10日間延長されます。逮捕の翌日に勾留請求がなされて勾留が決定すると、その日から数えて20日間が被疑者勾留の期間になります。
逮捕されずにいきなり勾留されることはありますか?
ありません。必ず勾留の前に逮捕が先行します。これを逮捕前置主義といいます。逮捕にも勾留にも裁判官の審査が及んでいるので、被疑者にとっては裁判官のチェックを2回受けられることになり、人権保障にも資するのです。
逮捕が違法であったときに、勾留をすることはできますか?
できません。逮捕が違法であれば身柄は釈放されているはずで、本来は勾留請求できなかったはずです。また逮捕についての不服申し立て手段がない分、勾留手続きにおいて逮捕の適否についての判断を予定しているともいえます。
被疑者が病気の場合でも、勾留されてしまうのでしょうか?
病気であることの1点を持って、どのような場合にも勾留されないということはありませんが、勾留の必要性に影響ある事実となり、必要性がないという判断に傾く可能性があります。
また、勾留されたとしても病気が重い場合は、勾留の執行停止を申し立てて勾留を解いてもらうこともできます。勾留の執行停止については、病気の場合や親が危篤の場合、学生の被疑者が学校の試験を受ける場合などに認められる可能性があります。
接見が禁止されているのですが、元気かどうかを確認するためになんとか一目でも会いたいと思っています。何か方法はありますか?
接見禁止命令に対して不服を申し立てることができ、不服申し立てが認められれば接見禁止が解除されます。
勾留理由の開示を申し立て、その場に現れた被疑者を確認することもできます。勾留理由の開示は、法廷で勾留の理由を裁判官が説明するものです。
暴行罪で逮捕されましたが、やはり同じ被害者に対する同じ時間と場所での傷害罪で勾留請求されました。逮捕された罪名と勾留の罪名が異なる場合は違法ではないのですか?
この場合は違法ではありません。原則として、逮捕された罪名と勾留の基礎となる罪名とは同じ事件についてのものである必要性があります。逮捕時と勾留時の2回にわたって同じ事件について裁判官のチェックを及ぼす必要があるからこそ、勾留の前に逮捕がなされていなければならないのです(逮捕前置主義)。そしてこの場合は暴行罪と傷害罪で罪名は違っていますが、同じ事件についてのものなので違法ではありません。逮捕された時は医者による診断書がなかったものの、勾留の時点では医者による診断書がある場合、暴行罪で逮捕、傷害罪で勾留という流れになります。
道路交通法違反の容疑でパトカーに追走され、道路交通法違反の容疑で現行犯逮捕されました。このときに警察官に対して抵抗をし、警察官がけがをしてしまったのですが、勾留は道路交通法違反に公務執行妨害、傷害が付加されています。このような勾留はできるのでしょうか?
できます。道路交通法違反で逮捕された逮捕時の被疑事実に加え、新たに公務執行妨害と傷害で逮捕されているのですが、このように逮捕時の被疑事実に新たに被疑事実を加えて勾留をすることも認められています(東京地決昭35.5.2)。
現金50万円をそのまま単純に1回盗んだことに対して、現金50万円のうち現金10万円を盗んだとして逮捕勾留し、勾留中にさらに残りの40万円のうち10万円に対して逮捕勾留をすることを繰り返すことはできるのでしょうか?
できません。1つの犯罪を2つ以上に分割して同時に2つの逮捕勾留を執行することは、不当な逮捕勾留の蒸し返しになるので許されないことになっています。
他人の家に侵入してお金を盗んだ事件で、住居侵入で逮捕勾留し、勾留中にさらにお金を盗んだことで逮捕勾留することはできるのでしょうか?
お金を盗むために他人の家に侵入した場合、住居侵入が窃盗の手段となっており、このような場合は合わせて一罪として重い罪の刑で処断されます(科刑上一罪)。そうであれば、1つの犯罪を2つ以上に分割して同時に2つの逮捕勾留を執行することは、不当な逮捕勾留の蒸し返しになるので許されません。
窃盗罪で逮捕されましたが、証拠不十分で釈放されました。今後、同じ窃盗罪で逮捕されることはありますか?
全くないとは言い切れませんが、可能性は高くはありません。同一の犯罪事実について逮捕・勾留を繰り返すことは許されないとされています。これは、逮捕期間や勾留期間において身柄拘束の厳格な制限がされている中で、同じ罪での再逮捕や再勾留を許すとこの厳格な制限を課した意味がなくなるからです。
もっとも、重大事件で緊急やむを得ない高度の必要性がある場合などの極限的な場合は許されます。
裁判例では、5件の爆発物取締罰則違反事件で逮捕勾留されたのちに釈放された被疑者が、5件中の1件と同一の被疑事実によって再逮捕され勾留請求された事案で、再勾留が認められました(東京地決昭47.4.4)。
逮捕された被疑事実と無関係のより重大な被疑事実での取り調べがもっぱら行われているのですが、別件逮捕ではないでしょうか?別件逮捕は許されるのでしょうか?
別件逮捕とは、本件についての逮捕要件がないのに、本件の取調べに利用する目的で、逮捕要件の具備している別件でことさらに逮捕することをいいます。
別件逮捕がなされると、実質的に本件に関する逮捕であるにもかかわらず、本件についての司法審査を潜脱し、また、厳格な身柄拘束期間を無意味にしてしまう点で問題となります。
そこで、違法な別件逮捕か否かは、捜査機関の主観的意図を知りえない以上、本件と別件の犯罪の軽重、本件と別件の関連性、逮捕後の本件取調べの時期、当初から両者の並行的捜査がなされていたか否か等の客観的事情を総合的に考慮して、実質的に本件についての司法的抑制を潜脱するものか否かによって判断します。実質的に令状主義を無視する程に、専ら別件取調べが行われる場合には違法な別件逮捕とされ、取調べが違法となるので、調書の証拠能力がないと判断されるなどの結果につながります。

留置場の生活はどうなっていますか?

警察署によって異なります。留置係官の管理状況に微妙な差があるというのが実情です。

>> 留置所内の生活(画像が表示されます)

留置場は都道府県警察本部や警察署に、約1300施設があり、約14000人の被留置者が留置されています。居室の前面は不透明な板で遮断されて、常時監視されることがないように配慮されているそうです。トイレは周囲を壁で囲まれたボックスの中にあります。居室内には、畳又はじゅうたんが敷かれています。留置施設は、警察署の2階以上の階に設置され、通風や採光に十分な配慮がされているとのこと。冷暖房装置は完備しているそうです。布団カバーは定期的に交換され、寝具も定期的に消毒されているそうです。
午前6時半に起床、午前7時半に朝食、午前8時に運動、正午に昼食、午後6時に夕食、午後9時に就寝というのが標準的な日課です。
無料で新聞や備え付けの本(六法全書もあるそうです。)や、差し入れされた本や自分で買った本を読むこともできます。毎日一定の時間にニュース、音楽などのラジオ番組を聴くことも可能です。被留置者は、提供される食事以外に、菓子類や乳製品などを自己負担で購入することができます。
定期健康診断は月2回あり、けがをしたり病気になったりした場合は、病院での治療を公費で受けることができます。自己の負担で特定の医師から特別な治療を受けることも可
能とのことです。
ちり紙、タオル、洗面道具などの日用品は支給されます(実際には買わされるそうです。)。トイレの時は看守に申し出てちり紙をもらい、朝夕の洗面歯磨きは手洗い場で行います。
入浴は週に2回以上で、決められた時間に入ります。
運動は30分程度ですが、狭いスペースで散歩を許される程度です。喫煙者は運動の時間にたばこを吸います。
横になったり、壁に寄り掛かったりすると注意を受けるようです。
男子女子や少年成人、共犯者同士は隔離され、室内にいるときだけでなく、運動などの際も顔を合わせることはないそうです。女性被留置者の身体検査や入浴の立会いは、必ず女性警察官又は女性職員が行います。女性被留置者は、化粧水やクリームなどの化粧品やくし、ブラシを洗面所などで使用することができます。

拘置所の生活はどうなっていますか?

留置場の生活よりも係官の対応は官僚的といわれています。
房には畳が敷かれ、水道もあります。居房には布団、座布団、机、ポット、掃除用具があり、洗面用具などの日用品や書籍、文房具、衣類などを部屋の中に置くことができます。週数回の物品購入では一定の定められた金額以内で菓子や飲み物を購入でき、就寝時間以外ならばいつでも口にできます。新聞も購読できるとのことです。毎日45分程度の運動と、週2、3回の入浴時には外に出られます。

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被疑者の防御権

勾留中の被疑者にはどのような防御手段がありますか?
勾留中でも弁護人依頼権と接見交通権が重要なのはもちろんです。
そのほかの勾留中の被疑者の防御権はまず、勾留質問があります。裁判官が勾留をするにあたって、裁判所において、被疑者の意見や弁解を聴く機会が保障されています。この勾留質問に弁護士が立ち会う権利は認められていません。特別の事情があるときに裁判所の裁量によって立ち会いを認めることは禁止されていないといわれますが、実際には、捜査の秘密に対する配慮から立ち会いは認められていません。勾留質問では、意見・弁解を聴くだけですので、供述拒否権の告知は義務ではないのですが、実務上、告知する扱いが一般的です。この勾留質問では勾留質問調書が作成され、検察官に送付されます。勾留質問調書は、被告人の供述を録取した書面として裁判上の証拠になりえます。
次に、勾留理由開示請求があります。勾留中の被疑者、被告人、弁護人などの請求により、被疑者、被告人、弁護人の出席する法廷で裁判官が勾留の理由を告げる手続きです。開示される内容は、勾留の理由と必要性です。
さらに、勾留の取り消し請求があります。これは、勾留の理由または必要性がなくなったときに被疑者や弁護人が請求するものです。
また、勾留に対する準抗告もあります。裁判官が勾留決定を出した後に、勾留の理由や必要性がないとして不服申し立てをすることです。
勾留の執行停止という制度もあり、被疑者が病気にあったときや、近親者の病気や冠婚葬祭、被疑者が学生の場合の試験などの場合は、勾留の執行を一時的に停止できます。

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弁護人選任権

弁護士選任手続はどのようにして行いますか?

刑事事件において起訴後の弁護士選任は、弁護士と連署した書面、すなわち弁護士選任届を裁判所に提出することになっていますが、起訴前の段階では特別の定めはありません。しかし実務上、起訴前であっても、起訴後と同様の選任手続きを踏むことになっています。
捜査段階でされた弁護士の選任は、第一審においても有効です。
被告人に複数の弁護士がつく場合は、主任弁護士を決めなければなりません。被疑者段階では原則として、3名を超える弁護士をつけることはできません。

弁護人は逮捕される前でも選任できますか?
選任できます。刑事訴訟法で身体拘束を受けていない被疑者も弁護人を選任できる旨が規定されています(30条1項)。
弁護人は被疑者の親族でも選任できますか?
選任できます。被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹も弁護人を選任することができます(30条2項)。
弁護人選任権があることは被疑者が教えてもらえるのでしょうか?
被疑者が逮捕・勾留されたときは、被疑者に弁護人が選任できることを告知する義務があります(203条1項、204条1項、211条、216条、207条2項・3項、77条1項)

弁解録取書とは何ですか?

被疑者が逮捕された後に、言い分を聞いて記録するものです。

刑事事件の取り調べ手続きとは別のもので、取り調べに入る前のものですから、弁解を聞く前に黙秘権告知をする必要はないとされています。

弁護人を選任したいのですが、弁護人の選任をきちんと伝達してもらえるのでしょうか?
大丈夫です。伝達することは義務です。
逮捕・勾留された被疑者は、裁判所または刑事施設の長らに、弁護人の選任を申し出ることができ(78条1項)、その申出は必ず伝達されなければならない(78条2項)と定められています。

私選弁護士と国選弁護士との違いは?

逮捕前や勾留前から選任できること、資力要件がないこと、自分で弁護士を選べることなどです。

刑事事件において逮捕前は国選弁護士がつきません。刑事事件を起こし逮捕されることが予想される場合に、弁護士に相談して刑事事件を委任したい場合は、私選弁護士を付けることになります。
被疑者国選は逮捕されただけでは利用できず、勾留段階になって初めて利用できます。
もっとも国選弁護士には資力要件があり、現金や預貯金の合計が50万円以上になる場合は、例外的な場合を除き、私選弁護士を選任することになります。
また国選弁護士と違い、私選弁護士は自分で頼みたい弁護士を選ぶことができます。

私選弁護士と当番弁護士との違いは?

当番弁護士も受任後は私選弁護士ですが、受任ルートが特殊です。

刑事事件においては逮捕前は当番弁護士に依頼できません。
刑事事件の逮捕・勾留中は1回だけ無料で当番弁護士に接見を依頼できます。その後も当番弁護士に事件を依頼する場合は、私選弁護士として委任することになります。

当番弁護士制度とはどのようなものですか?
各都道府県の弁護士会が、警察署に逮捕・勾留されている被疑者や被疑者の家族・知人の希望により、無料で接見に1回行く弁護士を手配する制度です。この1回の接見の後は、もしも当番弁護士との間で選任の話し合いがまとまれば、通常の私選弁護士を選任する手続きになります。

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取調べ

1年以上前の事件でいきなり逮捕されてしまいましたが、通常、このような以前の事件で逮捕されることはあるのでしょうか?
ずっと以前の事件でいきなり逮捕されることはあります。捜査機関が事件について把握をしていても、被疑者が海外出張中などで連絡が取れない場合に、緊急でない場合には、被疑者が出張から帰るのを待って呼び出すといった場合があります。また、事件が発覚し、現行犯逮捕から逃れようと逃走して怪我をしたような場合には、怪我の回復を待って逮捕するといった場合が有り得ます。警察署の扱い事件の数によって後回しになっていたり、証拠固めに時間がかかったりという事情でも逮捕まで時間がかかることがあります。
逮捕されてしまいましたが、取り調べを受ける義務はあるのでしょうか?
取り調べにつきあう義務はあります。但し黙秘することは自由です。
取調べについては、逮捕されていない時に受ける義務がありませんが、逮捕された場合には取り調べを受ける義務が発生します。
黙秘権とはどのようなものですか?
この黙秘権というのは、取調べの質問に対して、自分の意思に反して答えなくてもいい、という権利です。ただし、最高裁判所の判例で、名前の黙秘は認められないとされています。
憲法38条では、「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」と規定し、これを受けて、刑事訴訟法では取調べにおける黙秘権(198条2項)、刑事裁判における黙秘権(291条2項)を定めています。
黙秘権の告知
取り調べの際起訴状朗読後
誰が警察官・検察官裁判官
どこで取調室公判廷
弁護人立ち合いなし立ち合いあり
被疑者としての取り調べに黙秘権の告知がされなかった場合、供述したことは無効になりますか?
直ちに無効になるわけではありませんが、無効になるかどうかの判断材料になると考えられます。刑事訴訟法では、黙秘権の告知が義務付けられていますが、告知をしなかったからといって黙秘権を侵害したわけではないというのが判例の考え方です。そして任意になされなかった供述は証拠として使えない(無効)というルールがあるのですが、このルールに直ちに引っかかるわけではなく、任意になされた供述かどうかの判定にあたって黙秘権の告知がなかったことが1つの材料になると考えられます。
被疑者に黙秘権が保障されているのはわかりますが、自分にとって不利な内容でないことも話す義務がないのでしょうか?
話す義務はありません。黙秘権の内容は自分にとって不利益なことばかりでなく、利益なことについても及びます。
黙秘権を行使しても不利益になりませんか?
黙秘権は憲法で認められた権利ですので、これを行使し回答を拒んだことだけの事実を理由にして、刑が重くなるような不利益は本来あってはならないことです。
では、黙秘が最も有利な方法かというと、必ずしもそうではありません。事実をすべて認めて素直に話すことが1つの反省の態度として評価されるとすれば、黙秘は反省の態度を示す機会を失うということになります。
また、反論をすればその言い分を聞いてもらえたかも知れないという状況では、黙秘は反論の機会を放棄するとうことになります。この点で不利益と言えなくもないでしょう。
このように、黙秘権を行使することが得か損かの判断は大変困難です。弁護人と十分に相談することが不可欠でしょう。
黙秘をすると刑事はどのような態度に出てきますか?
「裁判で反省していないということで不利になる」、「黙秘権をサポートする弁護士はよくないので解任するべきである」、「反省が足りない、被害者や家族に顔向けできるのか」といった言葉を投げかけてきます。
黙秘していると保釈ができなくなりませんか?
実情として黙秘が保釈をさせづらくなることは事実です。黙秘の事実自体が罪証隠滅のおそれがあることを直ちに推認させることはありませんが、罪証隠滅のおそれがあるかないかを判断する一資料となることはあるからです。
取り調べに弁護士が立ち会うことはできますか?
原則としてできませんが、捜査官の許可があるような限定的な場合はできます。弁護人の取り調べ立会権は、現行法上は認められていません。捜査官が許可をすることはまずありませんが、参考人取り調べは交渉の結果、立ち会いを認められたことがあります。
供述調書に指紋押印をしろと言われましたが断れないのですか?
被疑者が警察や検察での取り調べで述べた事は、「供述調書」という書面に記録されます。警察や検察では、この調書を閲覧させ、または読み聞かせて、間違いがないかどうかを確かめ、訂正の申立てがあれば、その供述も記載しなければなりません。
間違いがないことを確認すれば、署名捺印が求められます。そして、逮捕されている被疑者の場合には、捺印よりも指印を要求されます。
署名指印のある調書は、その調書は署名指印をした人(被疑者)が調書の記載内容の正確さを認めたという意味を持ちます。したがって、一度署名指印をしてしまうと、後で調書の内容が間違っているということはできません。裁判で真実を述べればなんとかなるだろうという考え方で署名指印をすることは極めて危険です。
自分は罪を認めるつもりなので、取り調べに対してそれほど身構えなくてもよいのではないでしょうか?
犯行態様や動機などは量刑や処分に大いに影響します。弁護士と話し合って、自分にとって最大限有利な調書を刑事や検察官に作成させることが大切です。
逮捕されてから、逮捕の被疑事実とは違う余罪についての取り調べが続いています。余罪取り調べは許されるのでしょうか?
余罪取り調べは全く許されないものではありませんが、一定の限度を超すと違法になります。いったんある被疑事実で身体が拘束されればその後はどのような犯罪事実の捜査にもこの身体拘束を利用してよいというものではなく、もっぱら余罪取り調べをするということは許されないとされています。そして違法となる余罪取り調べの限度は、本件と別件との罪質や態様の違い、法定刑の軽重、本件と別件との関連性の有無や程度、別件の身体拘束の必要性、本件の取り調べ方法、本件の客観的証拠の収集状況などを総合考慮して判断されます。
起訴されてからも起訴された事実について取り調べが続いています。この取り調べに問題はないのでしょうか?余罪の取り調べについてはどうでしょうか?
起訴後の取り調べは、起訴後は被告人が当事者として検察官と対等な立場に立つことから避けるべきではありますが、全く禁止されているわけではないとされています。もしも取り調べを望まないのであれば堂々と取り調べを拒否することができます。
余罪についても、任意であれば取り調べをしても違法ではないとされています。もっとも、余罪について逮捕されていれば、取り調べを受ける義務が生じます。
勾留されており、取調べを受けていますが、自分の方で何かできることはありますか?
被疑者ノートの作成をお勧めします。
日本弁護士連合会は、被疑者に対して違法・不当な取調べがなされていないかを被疑者ノートに記録して、その被疑者ノートを接見の際に弁護人に見せるとともに、後日、弁護人に返却するという取り組みを進めています。
被疑者ノートに不当な取調べを記録することで、強引な取調べをしなくなったというケースが報告されていますし、裁判で取り調べ状況が問題になったとき、被疑者ノートが裁判の証拠として採用されています。
*取調官が被疑者ノートの内容を見たいと言っても、見せる必要はまったくありません。

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違法・不当な取調べを受けたら

警察に対する苦情申立ての方法はありますか?
平成20年4月、「被疑者取調べ適正化のための監督に関する規則」が定められました。
この規則は、不適正な取調べにつながるおそれのある「監督対象行為」を定め、取調べ監督官がこれを認めるときは、取調べの中止等を求めることができると定めています。
また、警察職員は、取調べについて苦情の申出を受けた時は、速やかに取調べ監督官にこのことを通知しなければならず、「監督対象行為」が行われたと疑うに足りる相当の事由があるときは、警察本部長は、取調べ調査官を指名して、「監督対象行為」があったかどうかを調査させなければならないと定めています。
検察に対する苦情申立ての方法はありますか?
最高検察庁も、平成20年5月1日、検察官の取調べに関し、「取調べに関する不満等の把握とこれに対する対応について」という通達を公表し、苦情の申し入れに対応しているようです。

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捜索・押収

捜査機関が行う押収とはどういう意味ですか?
捜査機関が行う押収には、「差押え」と「領置」があります。
「差押え」とは強制的に物を持っていかれる手続きです。
「領置」とは任意提出をされた物や遺失物をそのまま返却せずに捜査機関が持ち続ける手続きです。
領置については、捜査機関が物を手に入れるプロセスにおいては強制力が働きませんが、いったん物を手に入れた後は提出者や持ち主の意思に反してでも捜査機関が持ち続けることができます。
捜索・差押えは令状がない場合でもできますか?
原則としてできません。必ず令状が必要です。令状の発付には、理由と必要性が要求されています。必要性は、その場所に事件に関連する証拠物が存在する蓋然性が高く、それが破壊されるなどの危険があることから証拠保全のために差し押さえておく必要のあることです。必要性の有無の判断は、犯罪の態様や軽重、対象物の重要性の程度、対象物が滅失損傷されるおそれ、捜索・差押えを受ける者の不利益の大小などの事情を総合判断して決められます。
ただし、逮捕の現場においては、令状なしに捜索差押えができます(220条)
なぜならば、現場における証拠の破壊を防止するための緊急の必要性があり、逮捕の現場には、証拠の存在する蓋然性が高いためです。
捜索差押え令状にはどのようなことが書かれていますか?
捜索・差押え令状には、捜索する場所及び押収する物を明示する必要があります。令状には氏名、罪名、差し押さえるべき物、捜索すべき場所、身体および物などを記載します。このような具体的記載を求めているのは、捜査機関の差押えの権限の範囲を明確にし、一般的探索的捜索差押えを禁止するとともに、令状の執行を受ける者に対し受忍すべき捜索・差押えの範囲を明確にするという目的があります。
刑事訴訟規則155条によると
(1)差し押さえるべき物又は捜索し若しくは検証すべき場所、身体若しくは物
(2)請求者の官公職氏名
(3)被疑者又は被告人の氏名(被疑者又は被告人が法人であるときは、その名称)
(4)罪名及び犯罪事実の要旨
(5)7日を超える有効期限を必要とするときは、その旨及び事由
(6)日出前又は日没後に差押、捜索又は検証をする必要があるときは、その旨及び事由
捜索差押え令状の記載として、捜索場所の記載はどの程度具体的になっていますか?
捜索すべき場所は町名番地で特定します。場所の占有者ないし居住者の氏名の表示は必ずしも必要ではありません。2つ以上の場所を捜索する場合は、場所ごとに令状が必要で、1通の令状に2つ以上の場所を記載することはできません。マンションのように部屋ごとに管理者が異なる場合は、同一マンション内であっても管理者ごとに別個の令状が必要です。
捜索差押え令状の記載として、差押目的物の記載はどの程度具体的になっていますか?
差押えの対象をそれ以外のものと区別できる程度に特定する必要があります。もっとも捜索差押えは初動段階で行われることもあるので、証拠物を具体的に列挙することが難しい実情もあり、「覚せい剤、注射器、秤その他本件に関係ありと思料される一切の証拠」といった概括的な記載も許されることになっています。
このため、背景事実を立証する証拠まで差し押さえられることもあるので、差押えの対象はかなり広くなってしまいます。
捜索差押え令状の記載として、罪名の記載はどの程度具体的になっていますか?
罪名の記載は刑法犯においては殺人、強盗などの刑法の条文で規定する罪名が記載されますが、特別法犯においては公職選挙法違反などのように条文ごとの区別がなされていないこともあります。また、被疑事実の詳細までは記載していません。これは、捜査上の秘密の要請や、第三者に対して執行されることもあるので被疑者のプライバシーを守るという要請があるからであるといわれます。
捜索差押えがなされているときに別の犯罪の証拠が出てきた場合には、その証拠も差し押さえられますか?
当初の捜索差押え令状による差押えはできません。そのために捜査機関がとる方法は次のようなものが考えられます。まず任意提出をさせて領置をする方法です。ところが任意提出を受けられない場合もあります。そのような場合は発見された物が覚せい剤や拳銃のような法禁物であれば所持罪の現行犯として逮捕し、逮捕に伴う無令状差押えをする方法があります。法禁物でなければ新たに令状を取得して差し押さえることになりますが、その間は現場の出入りを禁止することができます。令状を得るまでの間は刑事が職務質問などで対応することになります。
差押えに伴ってビデオ撮影をされましたが、ビデオ撮影は認められているのでしょうか?
捜索差押えの執行方法を記録しその適法性を証明する目的や、差し押さえるべき物の位置関係などを保全する目的でのビデオ撮影は認められると考えられます(最決平2.6.27、東京高判平5.4.14)。
覚せい剤を所持してホテルの部屋に泊まっていたときに、刑事に踏みこまれました。刑事が来たのがわかったので、ドアを開けなかったのですが、刑事はマスターキーを使って部屋に押し入り、令状を見せて捜索差押えを開始し、覚せい剤が押収されました。令状を示したのは部屋に入る前ではなかったのですが、これでも適法な手続きでしょうか?
同様の事例における裁判例で適法な手続きとされています。令状執行の動きが被疑者に察知されると覚せい剤を処分されるおそれがあったとし、令状執行に着手した直後に提示を行ったことが適法とされています。なお、捜索差押令状の呈示に先立って刑事がホテルのドアをマスターキーで開けて入室した行為は、捜索差押えの実効性を確保するために必要な処置とされています。刑事訴訟法では、差押状または捜索状の執行に際して、錠を外し、封を開き、その他必要な処分ができるとされていますが、この必要な処分として認められるというわけです。
令状をしっかりと確認したいのでコピーを要求しましたが断られました。コピーは要求できないのですか?
要求できません。令状の呈示は、内容を理解できると思われる時間は示すことが必要ですが、処分を受ける者が抵抗したり執行を妨害したりする場合に、要求があったからといって令状を渡したり読んで聞かせる必要はないとされています。処分を受ける者からの令状のコピーの交付要求や書き写し、撮影などの要求に応じる必要もないとされています。
令状を示されたときに、刑事から令状を取り上げて破ったのですがこれで令状が適法に呈示されなかったことになり、捜索差押えが無効になりませんか?
無効になりません。令状は捜索が開始された時点で存在していればいいので、奪われたり破られたりしてもそのまま捜索差押えを継続できます。
私の自宅を捜索対象とする捜索差押え令状を持った刑事が捜索をするために私の自宅まで来ましたが、私や私の妻のバッグの中身まで見せてほしいと言ってきました。従わなくてはいけないのでしょうか?
従わなくてはいけません。捜索差押え令状は場所が対象となっていますが、捜索場所に居住する者およびこれに準ずる者の携帯物にも及ぶと考えられます。
これに対して、捜索場所に偶然居合わせた者の携帯物に関しては、管理権の主体が異なるので、捜索差押え令状の効力が及ばないと考えられます。ただし、捜索場所に居合わせた者が、捜索の目的物を隠匿し、破壊しようとする場合には、それを防止するために、捜索令状の執行についての必要な処分である(222条1項、111条1項)として、必要な処分ができると考えられます。
私の自宅を捜索対象とする捜索差押え令状を持った刑事が捜索をするために私の自宅まで来ましたが、私自身に対する捜索や私の身体検査をさせてほしいと言ってきました。従わなくてはいけないのでしょうか?
差押え対象物を隠し持っていると疑われる場合は、居合わせた者の着衣を捜索することはできると考えられます。ただし、裸にして体表や体腔を捜索したり、身体の内部を検査したりすることはできないと考えられます。
「宅急便です」という声があったので玄関を開けたところ、刑事が「警察だ」と言いながら踏みこんできて、中に入ってきてから令状を示して捜索をし、室内にあった覚せい剤を発見し、私は現行犯逮捕されました。刑事にだまされて扉を開けたことになりますが、違法ではないのでしょうか?
同様の事例で適法であると判断した裁判例があります。薬物犯罪ではごく短時間で証拠隠滅ができるので、捜索に拒否する態度を示す可能性のある相手方が施錠をしている場合には、本当のことを言っても入れてくれないだろうし、ドアを開けさせようと押し問答をしている間に証拠を隠滅される可能性があるので、宅配便を偽って玄関を開けさせることは必要な処分として、適法であるとの判断です。
また令状を示すのは通常、室内に入る前に行うのですが、室内に入ってから呈示したことも、捜索差押えの実効を確保するためにまず中に入って関係者の確認や動静の確認をするという意味で、適法であるとされました。
覚せい剤取締法違反の捜索差押令状で自宅を捜索されていましたが、私宛に捜索中に届いた荷物まで調べられて中に覚せい剤が入っていたので差し押さえられました。捜索の途中で私の自宅に届いたものまで捜索できるのでしょうか?
同様の事案で適法であると判断した最高裁判例(最決平19.2.8)があります。理由としては、途中で新たに自宅に届いた物を捜索しても、新たな管理権の侵害にならないと考えられるからです。

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逮捕に伴う捜索・差押

なぜ、逮捕の際に無令状で捜索・差押をすることが許されるのですか?
逮捕の現場において、令状なしに捜索差押えできる理由は、現場における証拠の破壊を防止するための緊急の必要性があり、また、逮捕の現場には証拠の存在する蓋然性が高いためです。
逮捕の際に行われる捜索・差押ではどのようなものが対象になるのですか?
逮捕の際に無令状で捜索・差押が許されるのは、逮捕者の安全確保・証拠隠滅の防止・被逮捕者の逃亡防止のためであるので、対象となるのは、逮捕の原因となった被疑事実に関する証拠物、及び没収物件、もしくは、逮捕の妨げとなる凶器や、逃走用具類に限って捜索差押ができると考えられます。
逮捕より先に捜索をすることは違法ですか?
逮捕しようとする者が不在でも常に捜索できるというわけではないですが、逮捕の態勢をとり、同時に行ったという評価ができる場合には、許されるでしょう。
判例も、緊急逮捕のために現場に赴き、被疑者が不在だったので、先に捜索差押に及びその後帰宅した被疑者を緊急逮捕した場合を適法としています(最大判昭36.6.7)。
裁判官は同一事件について、同一場所に対する再度の捜索差押許可状を発付することができますか?
許されます。なぜならば、捜索・差押えは、捜査の初期段階で行われることが多く、再捜索を必要とする場合もあるし、再捜索を認めないと証拠の隠匿行為に対処できなくなるおそれもあるからです。
そして、その再捜索が許されるための要件としては、再度にわたって私生活の平穏が害される第三者の不利益を考慮してもなお、目的とする証拠物が証拠として重要な価値があり、それを差し押さえるだけの必要性がある場合には、その物が存在するだけの蓋然性が認められることが必要です。
捜索差押え令状により自宅の捜索を受け、CDROMを100枚差し押さえられました。中には事件と関係のない物も含まれているのですが、このように包括的に差押えをすることは違法ではないのでしょうか?また捜索の際に捜査員がプリントアウトをしていたのですが、これも適法でしょうか?
CDROM等の電磁的記録媒体は、大量の情報を記録することができ、関連性のない文書も混在することが多い一方、文書類のように直ちに可視性、可読性がないことから、被疑事実との関連性の判断が困難になります。そこで、関連性を判断するための手段としてCDROMの内容をディスプレイに表示したり、プリントアウトしたりすることは、捜索差押のための必要な処分(222条1項、111条1項)として許されます。
また、本来であれば内容を確認した上で、関連するものだけを限定して差押えるべきではありますが、電磁的記録は消去が容易であるという特徴があるため、その場で内容が確認できない場合もあります。そこで、内容が確認できないときであっても、CDROM等の中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合で、その場で実際に記録されているか確認していたのでは記録された情報を損壊される危険がある場合には、内容を確認せずに一括して差押えをすることも許されています(最決平10.5.1)。
身体検査をされる場合、どのようなことがされるのでしょうか?
まず捜索としての身体検査では、着衣のまま外部から検査ができるだけで、全裸にする検査や身体内部の検査はできません。次に検証としての身体検査では、裸にして肛門などの体腔を検査することはできますが、あくまで身体の外面にとどまり身体内部の検査はできません。検証とは場所、物または人について、強制的にその形状を五官の作用で感知する処分です。鑑定処分としての身体検査は、身体内部の検査もできます。鑑定とは、特別の学識経験をあてはめて得た意見の供述のことです。

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接 見

弁護士との接見は被疑者にとってどのような意味を持つのでしょうか?
被疑者は法律の知識がないこともあり、身体拘束されて外部との連絡も遮断されているため、黙秘権などの権利を有効に行使することが難しい状態です。そこで被疑者の能力を補い、防御権を十分に保障するために弁護人依頼権があるのですが、この弁護人依頼権を実質的に実現するために、身体拘束中の被疑者が弁護士と自由に接見して事件の内容や自分の言い分を説明し、適切な助言を受ける機会を保障する意味を持ちます。
この接見が保障されていることで、身体拘束されて外界と遮断されている被疑者が弁護士を通じて外界と接点を持ち心理的安定が得られる、継続的な取り調べによる重圧を回避し、弁護士が違法な取り調べがないかチェックすることで黙秘権などの適正手続きを担保する、弁護士との話し合いで被疑者の訴訟準備を進めるといった効果が得られます。
また、弁護士以外の者との接見には、立会人が付き、接見時間は原則として20分以内に制限されます。さらに、被疑者には接見禁止がつくことがあり、接見等禁止決定が出された場合には弁護士以外には家族であっても接見することができなくなります。その場合、外界との唯一の連絡手段が弁護士なります。
接見の申出に対して、捜査機関が接見指定をできる場合とはどのような場合ですか?
接見指定ができるのは、接見等を認めると捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られます。具体的には、現に被疑者を取調べ中であるとか、実況見分、検証等に立ち会わせているというような場合だけでなく、間近い時に取調べ等をする確実な予定があって、弁護士の必要とする接見等を認めたのでは、取調べ等が予定どおり開始できなくなるおそれがある場合も含まれます。
弁護士の初回の接見申し込みが、被疑者の取り調べ中にぶつかってしまった場合に、どのように調整されますか?
逮捕直後の初回の接見は、被疑者が弁護士の選任を目的とし、取調べを受けるに当たっての助言を得るための最初の機会であって、非常に重要です。
捜査機関は弁護士と協議して、たとえ取り調べ中でも捜査に顕著な支障を生じることを避けることが可能であれば、原則として、比較的短時間でも即時または接近した時点での接見を認める必要があります。
任意取り調べで警察に被疑者として呼ばれている最中にも、弁護士との接見はできますか?
できます。任意で呼ばれている段階でも弁護士と接見ができることは確保されています。被疑者としては、取り調べはあくまで任意なのですから、面会と取り調べのいずれを優先させるかも被疑者の意思に委ねられています。弁護士から取り調べ中の被疑者に連絡ができない以上、弁護士からの接見要請に対しては、捜査機関が被疑者との連絡をつなぎ、被疑者が面会を希望する場合はその実現のために対応する義務があります。
接見場所のない検察庁の庁舎内で弁護士と接見することは不可能ですか?
捜査に支障がない場合でも、被疑者と弁護士の接見には、被疑者の逃亡、罪証の隠滅及び戒護上の支障の発生の防止の観点からの制約があり、これが可能となる設備が存在しない場合には、申出を拒否されても違法とは言えません。
しかし、弁護士がなお即時の接見を求め、即時に接見する必要性が認められる場合には、検察官は、たとえば立会人のいる部屋での短時間での接見(面会接見)でもよいか弁護士の意向を確かめ、差し支えないという意向を示した場合には、面会接見ができるように特別な配慮をすべき義務があるとされています。
勾留場所はどこですか?
本来なら勾留を執行する検察官が所属する法務省の管轄の「拘置所」に身柄を移すべきなのですが、実際には、ほぼ例外なく警察の留置場(「留置施設の代替収容」と言います)がそのまま勾留場所として指定されています。
通常は、逮捕された警察の留置場となりますが、共犯事件の場合には、共犯者と別々の警察の留置場に収容されます。
また、被疑者が女性の場合に、逮捕された警察に女性用の留置施設がない場合には、女性用の留置施設のある警察署へ移送されることになります。
留置場と拘置所では何か違いがありますか?
拘置所は、法務省の管理下であり、看守は法務省の職員であって捜査官ではありません。拘置所の方が留置場と比べて、係官の対応は官僚的であるといわれています。
留置場は、捜査課の警官ではなく留置係が所管していて、建前は捜査と切り離し中立の立場を保っているのですが、警察署の中にあって、警察が24時間身柄を管理する体制であることから、嘘の自白を強要する温床になっているという問題点が指摘されています。
留置場にいる被害者に対して、手作りの弁当を差し入れることはできますか?
難しいです。
留置場では最低限の生存は保障され、所持金がない人にも食事が提供されます。さらに、原則として自費で食事を注文することや菓子や飲み物を購入することも許されます。
また、家族などの差し入れの食事を禁じてはならないというのが刑事訴訟法第81条の規定です。しかし、実際は安全の確保という理由で、警察ごとに指定した業者の弁当や出前に限られているようで、家族が作った弁当などの差入れは認められません。
「差入れ」「宅下げ」とは何ですか?
「差入れ」:勾留されている被疑者・被告人に対して物や書面を渡すこと
「宅下げ」:勾留されている被疑者・被告人から物や書面を受け取ること
差入れが禁止されているものはありますか?
自傷・他害の危険があるものは禁じられています
■ ヒモ類(衣服や本についているものも含めて)
■ ボールペンなど尖ったもの
■ 生もの
上記以外の物であっても、自傷・他害の危険があるとして差し入れが入らないこともあります。個々の警察の判断に委ねられており、警察署ごとに多少の違いが生じるようです。
家族が逮捕・勾留されています。緊急に差し入れをするとしたら、どんなものが1番必要ですか?
衣類と現金です。
差入れは衣類をまず入れる必要があります。逮捕直後は、寒暖の調整をできる下着や、動きやすいスウェットなどを真っ先に必要としているケースが多いようです。パーカーなどのフードの付いたものは差入れできず、スウェットのズボンの紐などは抜かれることもあります。紐が縫い付けてあって抜けない場合などは差入れ不可と判断されてしまいます。また、衣服にほつれがあると差入れできない場合もあります。そのほか先のとがったものや生ものは差入れが禁止されています。自殺防止というのが主な理由のようですが、この運用は警察署によって、また担当官によって多少の温度差があります。厳しいところは本当に厳しいです。下着に小さなリボンが付いている。パンツ全体に伸縮するゴムが入っている、タートルネック状である、靴下の長さがくるぶしより上にくるものであるなどの理由で、差し入れた服がほとんど入らないことがあります。
本の差入れ冊数は通常、一度に5冊まで。一度に自分の房に持ち込める冊数には制限もあります。雑誌の差入れの際には、本をとめてあるホチキスがとられます。文庫本の栞のひもや本のカバーは外されます。スポーツ新聞やクロスワードパズルは差入れできません。
場合によっては現金も必要です。食事は自分で弁当を頼むことが許されており、警察に出入りしている業者の弁当や出前を頼めるようになっています。現金があれば手紙を書く場合に便せんと封筒を購入できます。
歯磨き粉などは中味の成分が確認できないという理由で入れてもらえないようです。
警察署で留置されている被疑者は、引き当たり捜査のために外に出ていたり、検察庁や裁判所に連れて行かれたりしている場合があるので、事前に確認をすると空振りに終わらずにすみます。拘置所に移管されている場合もあるので注意が必要です(東京拘置所の面会時間は月曜日から金曜日の午前8時30分から11時30分までが午前の受付、午後0時30分〜4時までが午後の受付です。ちなみに拘置所では差し入れたものが被疑者のもとに届くまでに時間がかかる場合があります。)
本や雑誌の差入れについては、どのような内容のものでも許されますか?
制限があります。
証拠隠滅をはかるおそれのあるもの、逃走・暴動等の刑事事故を扱ったもの、場内秩序の紊乱をあおり、そそのかすおそれのあるもの、風俗上問題となるようなことを露骨に描写したもの、犯罪の手段・方法等を詳細に伝えたもの、通信文若しくは削除困難な書き込みのあるもの又は故意に工作を加えたものなどは許されません。
ヒモ類について、本についているものも禁止されるということは、もともとしおりとしてヒモが付いているような本は差し入れることができませんか?
ヒモの部分だけ切り取って差入れすることになります。
ボールペン等の差入れが禁止されているということは、手紙を書きたい場合にどのようにしたらいいのですか?
ペン類については貸し出されることになっています。但し、通常は時間が限定されます。
家族との手紙に捜査官や留置場職員の悪口(若しくは、本当は自分がやったのだという自白)を書いても問題ないですか?
施設管理の名目で被疑者・被告人と外部との信書についてはすべて検閲が行われています。
家族が手紙を差し入れるにあたり、書いてはいけないことはあるのですか?
信書についてはすべて検閲が行われます。その上で、その全部又は一部に次のようなものがあるときは、その発受を差し止め、又はその該当箇所を削除抹消して発受を許すことになります。
①暗号などで、理解不能なもの、②発受が犯罪になりそうなもの、③留置施設の規律・秩序を害しそうなもの、④受信者を著しく不安に陥らせ、又は損害を与えそうなもの、⑤受信者を著しく侮辱するもの、⑥未決拘禁者については、罪証隠滅の結果を生ずるおそれがあるもの、⑦被留置受刑者ならその改善更生に支障を生ずるおそれがあるもの、がこれらに当たります。
弁護士との手紙に捜査官や留置場職員の悪口(若しくは、本当は自分がやったのだという自白)を書いても問題ないですか?
弁護人との秘密交通権には、弁護人と内容を秘密にして新書を交わすことができるという権利も当然含まれていますので、弁護人との手紙のやり取りには検閲は行われません。
しかし、実際には、施設管理の名目で相手がたとえ弁護士であっても、検閲されているのが実情のようです。
被疑者が外国人なので、被疑者の母国語で手紙を入れたいのですが可能ですか?
弁護人等以外の外部との信書発受については検閲が行われ、許されたものだけが被疑者の手に届けられます。外国語の場合は、当人に払わせて翻訳した上で許されるか否かを決めることになります。払わなければ、発受を許さないまでです。
勾留中に、他人に聞かれたくないプライベートな相談ごとをしたいので、外部に電話を掛けることはできますか?
電話をかけることはできません。
連絡したい相手に警察まで面会に来てもらうということが考えられます。
しかし、接見禁止決定が付いている場合には、そもそも面会ができませんし、面会するにしても弁護士以外との面会の場合には、留置場の係官が立ち会いますので、込入った話はしにくいというのが現実でしょう。さらに、この方法では自分が逮捕されたことを相手に知られてしまうという致命的な難点があります。
そこで、弁護士を依頼している場合であれば、弁護士との面会は係官の立ち会いなく行うことが出来ますので、家族や会社への連絡等を弁護士に手助けしてもらうということが考えられます。

接見禁止とは何ですか?

勾留中の被疑者や被告人に対し、弁護士以外の者との面会を禁じたり、書類の受け渡しを禁じたりすることです。

全面的な禁止のほか、個別的な禁止(両親以外の者との面会禁止、書類の授受のみの禁止)があります。弁護士は接見禁止の対象になりませんから、接見禁止が付いていても接見ができます。接見禁止処分に対して弁護士は、準抗告で対抗するほか、一部解除の申し立てによって裁判官の職権発動を促します。実務の運用上、裁判官が検察官の意見を聴くことになっています。
なお逮捕中は弁護士以外との面会はできません。

勾留中に接見等禁止決定が付いていますが、家族が会いに行くことはできますか?
接見禁止が付いている場合には、弁護士(弁護人若しくは弁護人となろうとする者)以外が接見することは許されません。
接見等禁止決定が付いている場合に、着替えを差し入れることはできますか?
場合によります。
接見等禁止の範囲が差入れ等についても禁止されている場合には、弁護士(弁護人若しくは弁護人となろうとする者)以外の者が差し入れをすることはできません。
ただし、接見等禁止決定が接見を禁止するだけで、差入れまでは禁止されていない場合があり、その場合であれば弁護士以外が差入れをすることは可能です。
どのような場合に接見等禁止決定が付されるのですか?
否認事件・共犯事件に付されやすく、自白事件であっても、組織犯罪、共犯事件、暴力団員の事件は起訴前までは付されることが多いです。ときには起訴後も接見等禁止決定が付されます。
接見等禁止決定が付いてしまった場合にはどうすれば家族との接見が許されるようになりますか?
弁護士によって、接見等禁止決定に対して準抗告や抗告の申立て、または、解除申立ての職権発動を促す等の方法があります。
全部解除が無理な場合にも、配偶者・両親等の近親者に対する部分については一部取消を認められる場合もあります。
親が危篤だという連絡を受けました。なんとか親のもとに駆けつける手段はありませんか?
勾留執行停止を申請することが考えられます。
裁判官が「適当と認めるとき」は、被疑者の勾留の執行を停止することができます。
「適当と認めるとき」とは、実務では、病気治療のための入院、両親・配偶者等の危篤または死亡、家庭の重大な災害、就職試験、学校の試験などの場合をいうとされています
上記のような事情が有る場合に、勾留執行停止の申請をすれば間違いなく認められますか?もし認められなかった場合の不服申立て手段はどうなっていますか?
認められるとは限りません。
勾留執行停止については、被疑者・弁護士らには請求権は認められず、被疑者・弁護士らから申請があっても職権発動を促すものにすぎないとされています。さらに、職権が発動されなくても不服申立てはできません。
勾留延長が決まってしまったら不服申立て手段はありませんか?
勾留延長許可に対する準抗告をすることが可能です。
勾留延長が決まってしまったら10日間拘束されるのは確実ですか?
準抗告することで、10日間の延長を7日や5日等と短縮する形で認容されるケースもあります。
勾留延長する理由はなんですか?
主に、被疑者取調べ未了、関係者取調べ未了、引き当たり捜査未了、鑑定未了のいずれかです。
勾留中は裁判によって刑が確定する前なので、刑務所とは違い人間的な生活をすることができるのでしょうか?
勾留場所については本来は拘置所ですが、実際はほとんどが警察署内にある留置場に留置されています。
留置場では、逃亡・罪証隠滅のおそれを排除することを目的としています。併せて、拘置所及び留置場職員は勾留中の者の自殺や自傷、同室者同士の暴行事件を防止することに注意しています。
実際には刑務所と同様に監視下に置かれて文化的な生活とはほど遠い生活を強いられています。排便排尿の状況まで眼下で視察できるように造られています。また、房の中に持ち込めるものも厳しく制限されています。運用は各留置場によって異なっているようです。
勾留中は食事は出してもらえるのでしょうか?
出してもらえます。これらは、税金によって賄われおり、都道府県警察実費弁償金という予算科目で一人当たり1日1000円ちょっとです。
自分でお金を払って注文することもできます。

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