よくある質問まとめ

03-5532-1112

警察から呼び出された方の無料相談
電話 10分無料/来所 30分無料

刑事訴訟法Q&Aよくある質問まとめ

事件発生と捜査のきっかけ

捜査を開始するためには、捜査機関が、犯罪があると思料する(189条2項)ことが必要です。そこで、捜査機関が犯罪ありと思料するに至った原因を捜査の端緒とよびます。いわば捜査が開始されるきっかけのようなものです。

迷惑防止条例違反の時間別検挙状況

刑事裁判の被疑者が起訴された後は、弁護士が付くことになっています。しかし、その前の捜査段階から弁護士が付いている被疑者は1割程度しかいません。
弁護士を選任できることを知らず、知っていても知り合いに弁護士がいないため誰に依頼していいのか分からない場合や、経済的理由で弁護士を頼めないからです。
捜査段階というのは、被疑者が起訴されるか、あるいは不起訴になるかの重要な段階です。
もし、この際に弁護士がいれば被疑者に有利になるよう細部にわたって適切な助言をしてくれるはずです。被害者がいる事件の場合に、被害者と示談することが被疑者にとって大きな利益となります。示談の際には、被疑者を宥恕する旨の嘆願書や被害届取下書若しくは告訴取下書等についても被害者に作成してもらい、これらを担当検事に提出することによって、不起訴処分となったり、処分が軽くなったりすることが考えられます。しかし、示談するためには被害者の連絡先を知る必要があり、被疑者と被害者が元々知り合いであった場合でなければ検事に問い合わせて教えてもらう必要があります。しかし、被害者の連絡先については弁護人に対してしか教えてはくれません(被疑者やその家族等に知らせることでお礼参りがあってはならないので)。示談成立のためにも弁護士の選任は不可欠といえるでしょう。
また、弁護士が付いているということは、捜査機関に対する違法捜査の抑止力になり、警察に自白を強要されたり、誘導されたりすることを防止する効果もあります。

犯罪にはどのような種類がありますか?

大きく分けて国家に関する法益に対する罪、社会に関する法益に関する罪、個人的な法益に対する罪の3種類があります。

刑法の条文の並び順は、国家法益に対する罪から始まって、最後に個人法益に対する罪が来ています。刑法が制定されたのが古い時代で、国家法益を犯すことが非常に重罪であるという時代認識があったこともあり、このような順番になっているといわれます。

刑事事件の個人法益に対する罪は、殺人や傷害、過失傷害、堕胎、遺棄などの生命・身体に対する罪、逮捕・監禁、脅迫、強姦、強制わいせつ、住居侵入などの自由に対する罪、名誉棄損や業務妨害などの名誉・信用に対する罪、窃盗、強盗、詐欺、恐喝、横領、背任などの財産に対する罪などに分かれます。

実務上、殺人や強盗、放火、強姦の凶悪犯、暴行や傷害、脅迫、恐喝の粗暴犯、窃盗犯、詐欺や横領、背任、偽造の知能犯、賭博やわいせつの風俗犯交通業務上過失致死傷罪などの分類も用いられます。

検察官と警察官の違いは何ですか?

どちらも捜査機関ですが、刑事事件の一次的な捜査機能を警察が担います。

検察官も警察官も公務員です。検察も警察も捜査機関として対等で上下関係はないのですが、刑事事件を起訴したり不起訴にしたりという処分権限は検察官にしかないので、警察は事件の処分のために検察に刑事事件を送致する必要があります。捜査の内容については警察と検察は協力関係に立ちますが、警察には検察による指示や指揮に従う義務があります。
検察官は都市部では捜査部と公判部に分かれており、前者に所属する検察官が刑事事件の捜査段階での取り調べを担当し、後者に所属する検察官が刑事事件の裁判を担当します。

刑事事件の被疑者とは何ですか?

捜査機関から嫌疑を受けているが、起訴されていない者をいいます。

刑事事件の被疑者は正式に逮捕などをされていなくても、犯罪の嫌疑を受けて刑事事件の捜査の対象となっている段階で被疑者と呼ばれます。マスコミでは容疑者と呼ばれています。
これに対し、被害者、目撃者、重要な情報を持っている者は参考人と呼ばれます。参考人には、刑事事件における被疑者に要求されている黙秘権の告知が要求されていませんが、参考人が取り調べを受けるうちに被疑者になっていくこともありえます。重要参考人と呼ばれる者に至っては、実質的な被疑者です。この場合、どの段階で黙秘権告知をするべきか、議論のあるところです。

どのようなことをきっかけに捜査は始まるのですか?
犯罪があると思われるときに、捜査は開始されます(189条2項)。
そして捜査が開始される手がかりを「捜査の端緒」といいます。
具体的には、職務質問、検視、告訴、自首、現行犯逮捕、被害者、第三者の申告、捜査機関の現認などです。

捜査の目的は何ですか?

刑事事件における捜査とは、罪を犯した疑いのある者(被疑者)を探索して必要があればその身柄を確保し、その者に対する公訴の提起及び維持に必要な証拠を集める捜査機関の活動をいいます。
つまり、刑事事件の捜査の目的は公訴の提起・追行のための準備行為をすることです。
したがって、すでに公訴時効の完成している犯罪について犯人を逮捕することや、親告罪についておよそ告訴を得られる可能性のまったくない場合には犯人を逮捕することは許されません。

司法警察職員とは何のことですか?

一般司法警察職員と特別司法警察職員を含み、一般司法警察職員とはいわゆる警察官を指し、特別司法警察職員とは海上保安官や麻薬取締官等のことを指します。

検察官と司法警察職員との関係はどのようなものですか?

刑事訴訟法では司法警察職員を第1次的捜査機関、検察官を第2次的捜査機関としています。そして、両者はあくまでも、それぞれ独立の機関として、対等・協力の関係にあるのが原則です。
しかし、検察官の方が政治的圧力から自由であり、高度の法律知識と捜査技術を持つといわれているため、汚職、脱税等の事件では検察官が主に捜査にあたります。また、刑事訴訟法193条には検察官の指揮権、指示権の規定があり、検察官は司法警察職員の捜査の行き過ぎや偏向を抑制すると同時に、警察官に対して、捜査の計画・方針について指揮をし、司法警察職員に命じて検察官の捜査の補助をさせることなどができます。
刑事事件の捜査を第1次的に行うのは司法警察職員です。しかし、捜査は公判の準備として行われるもので、起訴するかどうかは検察官が判断しますし、公判における訴訟は検察官が担当します。検察官が第2次的に捜査をするとか、検察官が司法警察職員に対して指示をする権限があるなどと言われます。
そもそも身柄事件の場合、逮捕されて48時間以内に被疑者の身柄が検察に送致される結果、刑事事件が警察の責任の所在に置かれているのは逮捕後から送致前の48時間であり、その後は検察官が刑事事件の責任をもちます。このため弁護士が交渉をし、被疑者に有利な結果になるように働きかけるのは、送致後は検察官に対してであり、実務上、弁護士が刑事と交渉するのはそれほど多くはありません。もっとも身柄が拘束されていない在宅事件では、弁護士と刑事との話し合いが多く持たれます。しかしながら弁護士による不起訴を目指すなどの活動では、やはり最終決定権限を持つ検察官に対しての交渉や働きかけになります。

告訴はどんなものですか?
告訴とは被害者その他一定の者が捜査機関に対し、犯罪事実を申告し起訴を求める意思表示のことです。
告訴できるのは被害者、被害者の法定代理人、被害者の配偶者、直系の親族、兄弟姉妹、死者の親族および子孫、検察官の指定した者です。
似た言葉として告発がありますが、告発は告訴権者および犯人以外の者が、捜査機関に対し、犯罪事実を申告しその訴追を求める意思表示です。

刑事事件に関して告訴と告発、被害届の違いは何ですか?

刑事事件における告発は第三者が捜査機関に対して犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることです。刑事事件における被害届は被害者による犯罪事実の申告で、必ずしも積極的に処罰を求めるわけではありません。刑事事件における告訴とは被害者その他告訴権を有する者が捜査機関に対し犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示です。

刑事事件における告訴は単なる刑事事件の通報ではなく、処罰を求めているというのがポイントです。検察官は告訴人に対して起訴不起訴の処分について通知をする必要があります。刑事事件の告訴期間は犯人を知った時から6カ月ですが、一定の性犯罪については告訴期間がありません。これは、刑事事件の被害者に短期間で告訴するかどうかの意思表示を要求するのが酷であるという理由からです。

告訴と被害届はどう違うのですか?
告訴は、犯罪事実の申告という報告行為と、訴追を求めるという請求行為との複合的な訴訟行為ですが、被害届は犯罪による被害の事実を申告することで、起訴を求める意思がない点で告訴と異なります。被害届には実務上、犯罪別に絶対に書かなくてはいけない要素があります。たとえば傷害罪であれば全治何週間といった要素が必要で、診断書も必要になります。けがをしていたのは確実なのに診断書が取れなかった場合は、暴行罪としてしか処理されません。事件から時間が経つと、医者が診断書を書いてくれない場合もあります。暴行罪で逮捕されたのに、被害者が診断書をとってきた以降は傷害罪として起訴される場合もあります。
告訴がなければ起訴されることはないですか?
親告罪の場合には告訴のあることが訴訟条件になるので、告訴がなければ起訴されることはありません。
しかし、非親告罪であれば、告訴があるか否かが起訴に影響を及ぼすことはなく、検察官の判断で不起訴とならない限り起訴されます。
親告罪は、次の3つの場合に、被害者の意思を尊重した方が刑事政策上相当であるとの理由で設けられているものです。
(1)犯罪の性質上、その犯罪を訴追すると、かえって被害者の名誉を傷つけるおそれがある場合(例えば、強姦罪、名誉棄損罪等)
(2)個人的法益に関する犯罪であって、一般的に被害が軽微であると思われる場合(例えば、器物損壊罪、信書隠匿罪等)
(3)特定の犯罪において、犯人と被害者との間に一定の身分関係がある場合(例えば、親族相盗の場合)
昔の事件について告訴をすると言われて困っています。告訴されるかどうかに時効はないのですか。
告訴にも時効があります。具体的には、犯人を知った日から6ヶ月を経過した時に告訴権が消滅します(235条1項)。
ただし、強制わいせつ罪、強姦罪、わいせつ目的等誘拐罪などの性犯罪については例外的に告訴権の消滅がありません。これは、被害者が受けた精神的ショックや犯人との特別の関係等により、短期間では告訴するか否かの意思決定をすることが困難な場合があることに配慮したためです。
親が「娘が怪我をさせられ、犯人はAです。処罰してください」と警察に告訴してきました。被害者である娘は被害当初から犯人を知り、その時は6ヶ月以上前でしたが、親が知ったのは告訴の3日前です。有効な告訴となりますか?
有効な告訴となります。
被害者、被害者の親、それぞれの者が告訴をすることが可能です。告訴期間は別々に計算されますので、被害者には6ヶ月の告訴時効が成立していても、親については、犯人を知ったのが3日前であって告訴時効は成立していないので、有効に告訴することが可能です。
3カ月前の事件についてなので記憶があいまいで、詳細に覚えていません。それでも告訴としても有効に扱ってもらえますか?
告訴する犯罪が特定されていて、犯罪事実は明白でなければなりませんが、必ずしも犯罪の日時・場所・態様につき、逐一、詳細に記載することまでは要求されていません。
また、犯人の名前が不明な場合や、誤記があった場合についても、判例は、被告訴人の氏名を欠き、又はこれを誤記しても、犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求める意思表示があれば、適法かつ有効な告訴となるとしています。
強姦罪について告訴がない状態でも、捜査が行われることはありますか?
強姦罪は親告罪ですので、告訴が公訴の要件となります。
しかし、捜査は事件直後に始めるのでなければ、有力な証拠の確保は困難です。そして、強姦罪の告訴権には消滅時効がないため、事件から何年も経過した後に告訴の要件が整ったとしてその時点から捜査を開始しても何の証拠も得られず犯罪の立証ができないというのが現実でしょう。
そこで、捜査は、公訴提起を前提として行われるものであるから、現在訴訟条件が備わっていないにしても、将来、訴訟条件が備わって、公訴提起の可能性がある場合に限り捜査できると考えられています。
特に強制捜査は、その点の見込みを慎重に検討しなければならず、将来、全く訴訟条件の備わる見込みのない場合は、捜査は行うべきではないといえるでしょう。
妻が強姦されました。妻はショックで寝込んでしまっているので、夫である自分が告訴状を出したいのですが有効ですか?
被害に遭った妻が成人であって、ほかに精神上の傷害がないのであれば、配偶者は告訴権者にはなりません。
強姦に告訴期間の制限はありませんので、被害に遭った本人(妻)が立ち直ったときに、本人の意思で告訴する必要があります。
幼い娘が性的いたずらをされる被害に遭ったとして、父親が告訴してきました。しかし、母親は事を大きくしたくないとの意向で告訴をしたくないと言っています。親権者2人の意見がわかれる場合、父親のした告訴は有効でしょうか?
親権者は、被害者の法定代理人として告訴をすることができます。この場合、各自が独立して告訴をすることができますので、父親1人がした告訴は有効なものになります。
16歳で恋愛結婚をした娘が強姦されました。両親が告訴することはできますか?
通常であれば、未成年者の場合は親権に服することとなり、法定代理人である親権者が独立して告訴することができます。しかし、未成年であっても、女は16歳になると結婚することができ(民法731条)、一旦婚姻すると、成年に達したとみなされます(民法753条)。成年として扱われる以上、親が告訴をすることはできません。
一度告訴された場合は、絶対に裁判になってしまいますか?
一度告訴がなされても、必ずしも裁判になるとは限りません。告訴は起訴前に限って取り消すことができます(237条1項)。だからこそ強制わいせつ事件や強姦事件では、被害者に被害弁償し示談をしたうえで告訴を取り消してもらうように弁護士が活動するのです。
また、告訴取消がない場合でも、その事件がかならず裁判になるとは限りません。裁判になるか、つまり起訴するか否かは検察官の判断に委ねられています。
告訴を取り下げてもらった後で、やはり気が変わったということで再び告訴をされないかが心配です。
心配する必要はありません。告訴は一度取り消されると、さらに告訴することができなくなります(237条2項)。 ただし、取消申立がまだ当該官署に到達する以前に、告訴人が当該官署に対し告訴の取消しを撤回すると申し立てたような場合、すなわち告訴取消の効果が発生する前であれば撤回は許されます。
告訴はいつでも取り下げられるのですか?
公訴が提起されるまでです。

ページトップへ

自 首

罪を犯してしまったのですが、自首したほうがいいのでしょうか?
自首すべきかどうかは事件化の可能性などにもよるので、一概には言えません。自首の相談のうち多いのが、職場での使いこみがばれかけているタイミングでのケース、指紋などの痕跡を残しているのではないかと不安に思っているケース、被害者と自分とのつながりが警察にばれているのではないかと不安に思っているケースなどです。自首の際に弁護士がつき添うことから始める刑事弁護活動もあります。もっとも自首したからといって、裁判官は必ず量刑に影響を及ぼさなければならないものではなく、量刑の際に影響を及ぼすことができるにすぎないことに、留意すべきです。もっとも自首することで、捜査官が被疑者に対してマイルドにあたることはあります。自首したケース全てで事件化がなされるわけではありません。自首した後に逮捕され裁判に発展した事件もありますが、余罪の立件も最小限で抑えられ良い結果が出ています。
自首をすると必ず刑が軽くなりますか?
必ずではなく裁判所が刑を軽くすることができるにすぎません。
刑事事件における自首とは、犯罪事実や犯人が誰であるかが発覚する前に、犯人自らが捜査機関に対し自分が罪を犯しましたと申告し処分をゆだねることです。
刑事事件の自首は刑の軽減事由になりますが、自首をしたものに必ず刑を軽減する義務は裁判所になく、軽減するかどうかは裁判所の自由裁量です。
警察に自首したとしても、その前にB警察に犯罪が発覚していれば自首は成立しません。犯罪が発生したことと、誰が犯人であるかが捜査機関に発覚していて、ただ単に犯人の所在だけが不明である指名手配などの場合に警察に出頭しても、自首には当たりません。もっとも情状には良い影響を与えます。
指名手配書があちこちに貼られてしまったので、もう逃げ切れないと思って自ら出頭する場合には、刑は軽くなりますか。
この場合は自首になりません。
ですので、自首としての減軽事由が自動的に裁判所に影響を及ぼすというわけではありません。もっとも情状には良い影響を与えるでしょう。

ページトップへ

検 視

検視とはなんですか?
変死体について、その死亡が犯罪に起因するかどうかを明らかにするため、五官の作用によりその死体の状況を調べることです。
検視の対象となるのはどのような死体ですか?
その死因が犯罪に起因しているかどうか明らかでない死体です。
家の中で家族が変死しました。警察には通報しましたが、警察が屋内に入ることは拒否したい場合、検視を拒むか、令状を要求することはできますか?
できません。
検視の令状というものはなく、令状なくして屋内に立ち入り、屋内にあった変死体を検視する行為は適法です。

ページトップへ

捜査の登場人物

捜査の目的は何ですか?
捜査とは、罪を犯した疑いのある者(被疑者)を探索して必要があればその身柄を確保し、その者に対する公訴の提起及び維持に必要な証拠を集める捜査機関の活動をいいます。
つまり、捜査の目的は公訴の提起・追行のための準備行為をすることです。
したがって、すでに公訴時効の完成している犯罪について犯人を逮捕することや、親告罪についておよそ告訴を得られる可能性のまったくない場合には犯人を逮捕することは許されません。
司法警察職員とは何のことですか?
一般司法警察職員と特別司法警察職員を含み、一般司法警察職員とはいわゆる警察官を指し、特別司法警察職員とは海上保安官や麻薬取締官等のことを指します。
検察官と司法警察職員との関係はどのようなものですか?
刑事訴訟法では司法警察職員を第1次的捜査機関、検察官を第2次的捜査機関としています。そして、両者はあくまでも、それぞれ独立の機関として、対等・協力の関係にあるのが原則です。
しかし、検察官の方が政治的圧力から自由であり、高度の法律知識と捜査技術を持つといわれているため、汚職、脱税等の事件では検察官が主に捜査にあたります。また、刑事訴訟法193条には検察官の指揮権、指示権の規定があり、検察官は司法警察職員の捜査の行き過ぎや偏向を抑制すると同時に、警察官に対して、捜査の計画・方針について指揮をし、司法警察職員に命じて検察官の捜査の補助をさせることなどができます。
捜査を第1次的に行うのは司法警察職員です。しかし、捜査は公判の準備として行われるもので、起訴するかどうかは検察官が判断しますし、公判における訴訟は検察官が担当します。検察官が第2次的に捜査をするとか、検察官が司法警察職員に対して指示をする権限があるなどと言われます。
そもそも身柄事件の場合、逮捕されて48時間以内に被疑者の身柄が検察に送致される結果、事件が警察の責任の所在に置かれているのは逮捕後から送致前の48時間であり、その後は検察官が事件の責任をもちます。このため弁護士が交渉をし、被疑者に有利な結果になるように働きかけるのは、送致後は検察官に対してであり、実務上、弁護士が刑事と交渉するのはそれほど多くはありません。もっとも身柄が拘束されていない在宅事件では、刑事との話し合いが多く持たれます。しかしながら不起訴を目指すなどの活動では、やはり最終決定権限を持つ検察官に対しての交渉や働きかけになります。

ページトップへ

職務質問

刑事事件の任意捜査は断れますか?

断れますが、実際にはあたかも強制捜査かのように断りにくい状況のようです。

刑事事件において任意捜査の「任意」については、本人が自発的に進んで応じた場合に限らず、渋々承知した場合でも、社会通念からみて身体上心理上の強い束縛がない限り、任意の承諾があると認められます。
刑事事件の任意捜査の例としては職務質問があります。職務質問の根拠は警察官職務執行法第2条です。この規定により、異常な行動や、罪を犯しまたは犯そうとしていると疑われる相当な理由のある者、すでに行われた犯罪又は将来の犯罪について知っていると認められる者を、警察官は停止させて質問することができます。所持品検査に協力を求められることもあります。その場での質問が本人に不利又は交通の妨害になる場合は、警察署や交番に同行を求めることもあります。
このときに警察官に許される有形力の行使の限界が刑事事件の裁判例でも問題になります。判例は、被質問者が急に歩き出し逃げるなどの異常な態度を示す時に、停止を求めて追跡すること、停止させるために背後から腕に手をかけること、自動車を発進させるのを防ぐためにエンジンキーを回転させてスイッチを切ることなどについて適法と判断しています。
刑事事件の任意捜査は断れるかどうかというと断れます。しかし、実際には警察官がなかなか離してくれず押し問答になることが多いようです。そのような場合でも、刑事事件の捜査の違法性の有無をチェックするのが弁護士の役割といえます。

職務質問はどのような人をターゲットにして行っているのでしょうか?
「何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者」が対象となります。
異常な挙動としては、人目につかない場所に潜む、血痕の付いた服を着ている、同じ場所を何度も往復して屋内をのぞく、警察官の姿を見て急に反転する、こん棒を携行している等がこれに当たりますが、ある挙動が異常であるか否かは、場所や時間帯によっても異なり得ます。
例えば、同じ金属バッドを持っているにしても、晴れた日曜日に公園でユニフォームを着て持っているのであれば異常とは言えませんが、深夜酔っぱらった状態で持っているというのであれば異常な挙動であると判断されてもやむを得ないでしょう。
自転車に乗っていると警察官から職務質問をよく受けます。断れないのでしょうか。
職務質問とは、犯罪の予防・早期発見のため、警察官が挙動不審者などを停止させて行う質問をいいます。根拠は警察官職務執行法2条1項です。
職務質問では、①停止、②質問、③任意同行を求めることができます。しかし、あくまでも任意であるのでこれを断ることはできます。
職務質問はこのように任意ですから、結論から言うと断ることはできます。しかし、断ってもしつこく身分証明書の提示を求めたり、停止を要求したりしてきますので、任意であるとの一本調子で断り続けるには大変な気力が必要です。犯罪に巻き込まれずに生活できているのは警察官のおかげなのですから、やましいことがなければ職務質問を断るなどと考えずに市民の義務として協力することが望ましいでしょう。職務質問をする警察官の態度が居丈高なので協力する気がなくなったという人もいるでしょう。協力するのが当然という態度で、いきなり犯罪者扱いする警察官も中にはいると聞いています。警察官に対する不信感が高まれば、都市型犯罪などで市民からの情報協力が得られなくなり、事件解決も困難になります。警察官も職務質問を受ける市民も、お互い協力して治安を維持しているという意識が必要なのではないでしょうか。
覚せい剤を使用しているのではないかと尿を出すように警察官に説得され、無理やり警察署にとどめおかれ、尿を提出させられました。前科があるので覚せい剤の使用を疑われたようですが、このような任意同行は認められるのでしょうか?
事案毎の判断が必要です。実務では、覚せい剤を使用した直後の被疑者が抵抗する事例などで、任意同行に対する説得の許容範囲が問題になります。職務質問で覚せい剤所持の前科があることが分かると、任意同行を求められる傾向はあります。これに対して抵抗すると、ほかの警察官にも応援を求め、現場が騒然となります。任意同行に対する説得の許容限度に関する判例として、対象者の身体に対する捜索差押許可状の執行が開始されるまでの間に、警察官が約6時間半以上も対象者を現場に留め置いた措置について、任意同行を求めるための説得行為としては限度を超えていて、移動の自由を長時間にわたり奪った点において、任意捜査として許容される範囲を超えていると判断されています。
職務質問を断って現場を立ち去ろうとしたところ、肩に手をかけられました。これは違法なのではないですか。
職務質問の根拠となる警察官職務執行法2条によると、警察官は、不審者を「停止させて」質問することができます。しかし、令状なくして実施される職務質問は、捜査に関する任意処分の原則(197条1項)から、停止させる手段としては、原則として任意の手段による必要があります。
しかし、一切の有形力の行使が許されないとすれば職務質問の実効性が失われますし、また、職務質問は犯罪の捜査に向けた活動ではなく、行政警察活動であることから、秩序維持という目的のためにはある程度の有形力の行使の必要性が認められます。
そこで、身柄拘束などの強制に到らない程度の有形力の行使は、必要最小限度なものであれば例外的に許容されるとされています。
例えば、肩に手をかけられた程度であれば相当な手段であるとして違法にはなりません。

【適法とされた事案】
■ 巡査が職務質問中、駐在所から突然逃げ出した者を130メートル追跡し、引きとめるため背後から腕に手をかけて停止させた行為(最決昭29.7.15)
■ 警察官に対して暴行を加え傷害を負わせた者が路上の集団に紛れ込んだため、警察官がその集団に対し停止を求め、集団の一員たる者が立ち去ろうとしたので、背後から方に手をかけた行為(最決昭59.2.13)
■ 交通事故後の現場整理をしていた警察官が、つばを故意に吐きかけられたと認識し、相手方の胸元をつかんで歩道上に押し上げた行為(最決平元.9.26)
職務質問を断って現場を立ち去ろうとしたところ、警察官が「止まらなければ逮捕する」 「逃げると撃つぞ」と威嚇しながら追尾した場合、違法ではないのですか。
心理的な強制を加えて停止させようとするものであって、警察官の職務行為としては著しくその範囲を逸脱しており違法です。
車に乗って職務質問から逃れようとエンジンをかけましたが、警察官が窓から手を入れてエンジンキーを回転させてスイッチを切りました。自分の車のキーで許可もしていないのに、このようなことをされて不満です。職務質問は任意のはずなのにここまでされるのは違法ではないのですか。
職務質問に伴う有形力の行使は強制に到らない程度の必要最小限度なものであれば許容されます。特に、飲酒が疑われるような場合であれば、道路交通法上の違反行為にも該当しますし、運転を継続させれば運転者自身にも危険が及ぶのでその保護の必要性からもある程度の有形力の行使が認められます。そして、自動車の特性から、走って逃げる場合とは異なり、発進すると即時に遠くまでの移動が可能であって、それを阻止するためにエンジンキーを回すことも、さらにエンジンキーを抜き取る行為も適法とされる場合が多いです。

【適法とされた事案】
■ 酒気帯び運転の嫌疑濃厚な被疑者が、車を発車しようとしたため、車内に手を入れてエンジンを切った事案(最決昭53.9.22)
■ 覚せい剤使用の疑いがあり、異常な言動があったため、自動車を発車させないようにエンジンキーを抜き取った事案(最決平6.9.16)
宿泊中のホテルの部屋にいたところ、覚せい剤所持の容疑で警察官が部屋に入って職務質問をしようとしたので、部屋のドアを閉めようとしました。警察官がドアの隙間に足を入れてドアを閉めないようにしました。これは違法なのではないでしょうか。
職務質問を行うにあたり、ホテルの宿泊客の意思に反して部屋の内部に立ち入ることは原則として許されません。しかし、無銭宿泊や覚せい剤所持等が疑わしい状況で、質問を継続し続ける必要がある場合に、その状況を確保するため、内ドアを押し開け、内玄関と客室の境の敷居上当たりに足を踏み入れ、内ドアが閉められるのを防止したことは、適法であるとされています(最決平15.5.26)。 判例では、ホテルの部屋に入った警察官が、約30分間にわたり、全裸の被告人をソファーに座らせて押さえ続け、その間に衣服を着用させる措置を取らなかった事案について違法とされています。

≪参考≫ 警察官職務執行法

第2条(質問)
警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。
2 その場で前項の質問をすることが本人に対して不利であり、又は交通の妨害になると認められる場合においては、質問するため、その者に附近の警察署、派出所又は駐在所に同行することを求めることができる。
3 前二項に規定する者は、刑事訴訟に関する法律の規定によらない限り、身柄を拘束され、又はその意に反して警察署、派出所若しくは駐在所に連行され、若しくは答弁を強要されることはない。
4 警察官は、刑事訴訟に関する法律により逮捕されている者については、その身体について凶器を所持しているかどうかを調べることができる。

ページトップへ

所持品検査

所持品検査はどういう法律上の根拠で認められるのですか?
所持品検査は明文で根拠があるわけではないですが、警察官職務執行法2条1項で「警察官は、異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問することができる。」と規定する職務質問に付随する処分として認められています。
所持品検査はどの範囲で認められますか?
任意手段である職務質問の付随行為として許容されるものであるから、所持人の承諾を得てその限度で行うのが原則です。しかし、承諾のない限り一切許容されないとするのは相当でなく、捜索に至らない程度の行為は、強制にわたらない限り、認められるとされています。
具体的には、所持品検査の必要性・緊急性を考慮し、所持品検査によって害される個人の法益と保護されるべき公共の利益とを比べて相当な限度内において認められます。

【適法とされた事案】
■ 銀行強盗という重大な犯罪の容疑が濃厚な被疑者であり、凶器所持の疑いもある者が、再三の職務質問に黙秘し、バッグの開披要求を拒否し続けていたことから、鍵のかかっていないバッグのチャックを開披し内部を一瞥した事案(最判昭53.6.20)
■ 覚せい剤事犯の嫌疑が飛躍的に高まっており、明確な拒否の意思表示もなかった状況で、「床に落ちていたのを拾ってテーブルの上に置いた財布について、2つ折りの部分を開いた上ファスナーの開いていた小銭入れの部分からビニール袋入りの白色結晶を発見して抜き出した行為(最決平15.5.26)

【違法とされた事案】
■ 警察官が覚せい剤の使用等の疑いのある被疑者に対して、被疑者の上着内ポケットに手を差し入れて覚せい剤、注射器を取り出した事案(最判昭53.9.7)
■ 警察官が、覚せい剤使用の嫌疑に基づき、被疑者の承諾を得ずに、自動車のシートを前後に動かして検索する行為(最決平7.5.30)
■ 足首付近の靴下の膨らんだ部分から覚せい剤様のものを取り出す行為(最決昭63.9.16)

ページトップへ

自動車検問

自動車検問にはどのような種類がありますか?
自動車検問とは、犯罪の予防・検挙のため、警察官が進行中の自動車を停止させ、必要な事項を質問することを言います。これには3種類あります。
①交通検問:交通違反の予防・検挙を目的とするもの
②警戒検問:犯罪一般の予防・検挙を目的とするもの
③緊急配備検問:特定の犯罪の捜査を目的とするもの
特定の犯罪の発生を前提としない交通検問は、無理に停止をさせて質問をできるものなのでしょうか?
交通違反の多発する地域において、短時間の停止と必要な事項について質問することは、相手方の任意の協力を求める形で行われ、自動車利用者の自由を不当に制約しない方法・態様で行われる限り適法とされています。
自動車検問に応じるよう求められ、車止めを装置されました。任意捜査の限界を超えた違法なものではないのでしょうか?
適法である可能性が大きいでしょう。
裁判例では、車両の急発進による警察官の危険を回避するためのやむを得ない措置であり、長時間にわたらない場合であって、運転手らからも車止めをはずすよう求められていない場合に適法としています(東京高判平8.6.28)。ただし、この事案は、過激派の非公然アジトから段ボールのような物を積みこんで出発したとの嫌疑がかけられていた場合ですので、どのような場合であっても適法となるものではないでしょう。
他にも、警察車両数台で取り囲む行為(東京高判平9.4.3)や、運転免許証を返還せず、丸太で車止めをする行為(東京高判昭57.4.21)も適法とされています。
駐車違反を見咎められ免許証の提示を求められましたがこれを拒否して車を発進させたところ、警察官にフロントガラスや天井を警棒で強打され破損しました。警察官の行為は違法になりますか?
違法となる可能性が大きいでしょう。
警察官は、相手方に対する説得を継続するため、相当と認められる限度において有形力を行使することができますが、駐停車違反という軽微な罪に対して不相当に大きな被害を加えており、違法なものと判断されます。

ページトップへ

任意捜査の原則

捜査が任意か強制か、どのように区別されるのですか?
強制捜査は一般用語の強制と意味が異なります。強制捜査は必ずしも有形力の行使を伴う手段を意味するのではなく、個人の意思を制圧し、身体、住居、財産などに制約を加えて強制的に捜査目的を実現する行為など、特別の根拠規定がなければ許されないものをいいます。任意捜査は強制捜査以外のものをいいます。
強制捜査の例として、逮捕、勾留、身体捜索、身体検査、鑑定留置、捜索・押収、検証、鑑定があります。
任意捜査の例として、被疑者の取り調べ、参考人の取り調べ、任意出頭・任意同行・公務所への照会、鑑定・通訳・翻訳の嘱託、尾行・張り込み、聞き込み、おとり捜査、領置、実況見分があります。
任意捜査であれば何をやってもよいのでしょうか?
任意捜査であっても、捜査の必要性・緊急性・相当性が認められる行為でなければなりません。
任意捜査であれば有形力の行使は一切認められないのでしょうか?
捜査の実効性の確保という観点から、有形力の行使を一切否定することはできませんが、個人の意思に反して権利を侵害するおそれのある処分は強制捜査となります。被疑者の意思に反するとまではいえない程度の有形力の行使は、必要性・緊急性・相当性が認められる限り許されるとされています。

【適法とされた事案】
■ 呼気検査に応じるよう説得中、急に退出しようとした被告人に対し、さらに説得のため、その前方に立ち、両手でその左手を掴む行為(最決昭51.3.16)。
任意同行を拒否することはできますか?
拒否することはできます。また、任意同行に応じた場合であっても、いつでも退去したい際にはその旨を告げ、退去することができます。
そして、同行または同行後の退去が拒否しえない状態になれば、その時点から実質上逮捕となります。
任意同行と逮捕の区別は?
任意同行として許容されるためには、被疑者の承諾だけでは足りず、被疑者の自由な意思決定を抑圧しないような客観的状況が必要であるとされています。
具体的には、同行を求めた時間的・場所的関係、同行の方法、態様、同行を求める必要性、同行後の取調べ時間・方法、監視状況、被疑者の対応状況、逮捕状準備の有無等の事情を総合考慮して客観的に判断すべきであるとされています。

【適法とされた事案】
■ 盗難車である疑いのある車両に乗車している者に対し、当該車両を停止させ、職務質問を開始し、警察署への任意同行を求めたが、被疑者が車内に閉じ籠るなどの頑なに拒否したため、これを説得するのに時間を要し、結果その場に4時間留めおかれた上、被疑者が乗車したままレッカー車で署へ同行された事案(東京高判平8.9.3)。

【違法とされた事案】
■ 覚せい剤使用の嫌疑に基づき、被疑者に対し職務質問に引き続き任意同行を求めた際、これを拒否した被告人に対して警察官2人によって、被告人の頭、肩ズボンのベルトを掴んでパトカーに押し入れようとしたところ、被告人は、「どけ、入るわ」といって自らパトカーに入った事案。被告人のとった措置は半ばあきらめの気持ちによるもので、これをもって被告人が任意同行に応じたとはみることはできず、逮捕行為にも比すべきものとした(大阪高判平4.1.30)。
任意同行を求められたので警察署に出頭しましたが、夜遅くまで取り調べられ、帰りたいといっても帰してもらえませんでした。違法ではないですか?
違法な場合があります。
任意捜査の形式をとった被疑者取り調べでも、
①実質的な強制捜査であって違法であるもの
②任意捜査であるが社会通念上許容される限度を超えた違法なもの
③任意捜査としてその限界を超えない適法なもの
に分類できます

【適法とされた事案(上記分類の③のケース)】
■ 被疑者を四夜にわたり所轄警察署付近のホテル等に宿泊させて取り調べを続行しても、同人に帰宅できない事情はないが同意があった事案(最決昭59.2.29)
■ 徹夜で長時間(午後11時すぎに任意同行し翌日午後9時25分頃まで)の取調べでも、本人の承諾を得て参考人の事情聴取として開始したこと、自白したが重大事犯の枢要部分に関する虚偽供述もあったこと、本人は帰宅や休息を申し出ていいないことなどの特殊事情があったため適法とされた(最決平1.7.4)

【違法とされた事案(上記分類の②のケース)】
■ 捜査段階における10日間にわたる連日の長時間の取り調べを受け、警察署内はもちろん宿泊先の就寝中も含めて常時監視されており、トイレに行くにも監視者が同行し、電話をかけることも許されなかった。また、宿泊場所と警察署の往復には警察の車が使用された事案(東京高判平14.9.4)
任意同行が度を越して違法になった場合はどのようになりますか?
任意同行の名のもとに実質的な逮捕とみなされる行為があれば、強制処分である逮捕を法律の規定に従わずに行っていることになります。もちろんこのような場合は捜査に違法性があり、その間に作成された調書が裁判で証拠とされないなどの影響が出てきます。
任意同行で出頭したにもかかわらず、なかなか帰りたいといっても帰してもらえないケースはよくあります。同行を求めた状況、同行の方法、同行を求める必要性、同行後の取り調べ方法、監視状況、被疑者の対応状況などの状況を総合的に判断して、被疑者の自由な意思決定による同行とはいえないときは、実質的な逮捕であるにもかかわらず手続きが踏まれていないとして、違法であるといえるでしょう。もっとも、任意で応じているということになっているので、任意ではなかったという客観的な状況を積極的に主張していく必要があります。
警察から任意出頭の要請がありました。弁護士についてきてもらうことはできますか?
警察署まで一緒についていくことは可能ですが、取調べ室で取調べに立ち会うことは難しいのが実情です。任意捜査ですので、弁護士立会いでなければ取調べに応じないという対応をすることは可能です。しかしこのことが逮捕されることにつながる可能性もあります。また警察署の管理権が警察署長にある以上、取調室で弁護士が立ち会うことを権利として主張することはできません。刑事との交渉により、取り調べに立ち会ったり、取調室のドアを開けっ放しで弁護士に見えるようにして取り調べをしてくれたりするケースもあります。
呼び出しに出向くとそのまま逮捕されるのですか?
警察からの任意出頭の呼び出しは、本当に事情を聴きたいから呼びだすという場合と、逮捕の前提として呼びだすという場合があります。
逮捕を予定しているのにあえて任意出頭から入ることの理由は、
①自宅に複数の刑事が押し掛けてきて手錠をかけ連行すると、近所中の騒ぎになって、本人も家族も無用のダメージを被るので、それを避けるという配慮の場合
②逮捕してしまうと48時間という警察における時間制限がスタートするので、少しでも逮捕の時刻を遅らせて、なるべく有効に時間を使いたいという場合
の2つが考えられます。
特に②の時間制限については、
具体的には、司法警察員が逮捕してから48時間以内に書類及び証拠物を添えて身柄を検察官に送致し、検察官は身柄受領の時から24時間以内(ただし、逮捕の時から72時間以内)に裁判官に被疑者の勾留を請求するか、公訴を提起しなければならないのを原則とします(205条)。
任意出頭を要請したのは、逮捕と同時に始まる時間制限のカウントを避けるため。つまり、任意出頭によって身柄を確保し、その間に被疑者の自白を得る等して証拠をそろえようという捜査側の時間稼ぎと言えるでしょう。
本人が逮捕してもいいと承諾した場合であれば、現行犯逮捕における以外でも令状なくして逮捕することは許されますか?
許されません。
極めて人権に関する事柄は、たとえ本人が承知したからといってすることは許されません。
本人が承知しても許されないものとしては、逮捕・勾留・捜索・女子の身体の捜索等がこれにあたります。

ページトップへ

私選弁護人の選任

弁護士の選任は早いほうがよいのでしょうか?
早いほうがよいです。
弁護士をつけても、刑事事件ではできること、採りうる手段の選択肢が、時間が経てば経つほど少なくなっていきます。
選任するかどうかはともかく、弁護士への相談は早めにしないと事件によっては間に合わなくなります。
現在選任している弁護士を変えることによって、不利になることはありますか?
一般的に弁護士を変えることはあまりよいことではありません。引き継ぎなどがスムーズに行われたとしても、時間的なロスになります。また着手金は解任する弁護士に対しても発生しているため、金銭的にもロスになります。
このようなリスクを負ってでも、選任している弁護士の活動に満足しておらず、新しい弁護士を選任して可能性にかけてみたいという気持ちが強ければ、弁護士を変えることも検討してみるべきだと思います。それだけ弁護士に対する満足度が低ければ、今後のコミュニケーションもうまくいかない可能性が高いでしょう。
変更しないまでも、別の弁護士にセカンドオピニオンのつもりで相談に行くのもよいかもしれません。
国選弁護士は、私選弁護士と比べてレベルが落ちるものなのでしょうか?
国選弁護士と私選弁護士のどちらが優秀かは一概にいうことはできません。
意思疎通を十分図れて自分の主張を聞き入れてくれること、それを実行する熱意のある弁護士に依頼するのが良いでしょう。国選弁護士の場合であってもこれらの条件を満たす弁護士はいるでしょう。しかし、一般的には国選弁護士の報酬は廉価であるため、時間をかければかけるほど時間給に直すと低廉になります。接見に行く場合にも、交通費がかかることに加え、その時間は他の仕事の手を止めることになります。そこで一般的には国選弁護士の場合には時間と労力をかけない人が多い問題が指摘されています。
国選弁護士が接見に全く行かない「ゼロ接見問題」も報道されています。
国選弁護士を私選弁護士に変えることは可能でしょうか?
可能です。弁護士を変えることの是非はともかくとして、国選弁護士を選任している状態で私選弁護士を選任すると、国選弁護士は裁判所によって自動的に解任されることになっています。

ページトップへ