よくある質問まとめ

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刑事訴訟法Q&Aよくある質問まとめ

事実認定

1. 有罪とされるに要求される証明の程度

刑事事件において犯罪があったということや、被告人が犯人であることについては、「合理的疑いを入れる余地がない程度の証明」が必要です。これは民事裁判で要求される証明よりもハードルが高いものです。
したがって理論的には、刑事事件の被害者が犯人に対して損害賠償を訴える民事裁判において、犯罪があったということや被告が犯人であるということの証明に失敗してしまった場合、刑事裁判で被告人が有罪になることはないはずです。逆に民事で責任が認められたのに刑事では無罪になることは、証明のハードルの違いなどにより起こりえることです。しかし実際には、刑事事件で有罪になったのに民事事件で責任が認められなかったケースもあります。先行する裁判の結果に、後の裁判が拘束されることはないからです。
それはともかくとして、一般には、刑事裁判の証明のハードルはある程度高いもので、通常人ならば誰でも疑いをさしはさまない程度に真実らしいとの心証を裁判官が得て初めて有罪にできます。

2. 誰が証明するのか

このようにハードルが高い刑事裁判の証明ですが、例外的な場合を除いて、刑事裁判ではすべて検察官が立証責任を負います。刑事事件の被告人は自分が無罪であることを証明する必要はありません。刑事事件において検察官の証明が不十分でありさえすれば、たとえ被告人が本当は真犯人であっても、有罪にはなりません。

3. 証拠の種類

証拠には色々な区別の仕方があります。その中でも、証拠構造を理解してもらうために、
直接証拠と間接証拠の区別を説明します。
直接証拠というのは、証明しようとする事実、これは究極的には刑事事件の犯行状況や被告人が犯人であることなどですが、を直接証明するために用いる証拠です。例として、目撃者の証言、被害者の供述、自白などです。刑事事件における直接証拠は主に信用性が問題となります。
これに対して刑事事件における間接証拠とは、証明しようとする事実を直接証明できないが、これを推認させる事実(間接事実)を証明するのに用いる証拠です。例として、犯行現場から被告人の指紋が採取されたことを証明する鑑定結果が挙げられます。この証拠から被告人が犯行現場にいたこと(間接事実)を証明し、その事実から被告人が犯人であるという証明しようとする事実を推認させます。刑事事件において間接証拠や間接事実を状況証拠ともいいます。刑事事件において間接証拠は信用性のみならず、証明力が問題になります。

4. 証拠能力

証拠として認められない主なものは以下の通りです。

1. 任意に供述されていない自白

憲法38条2項や刑事訴訟法319条1項、322条1項によって、刑事事件において任意に供述されていない自白や不利益供述は証拠能力が認められません。これは、任意になされていない自白はそもそも内容に嘘が生じやすいということと、黙秘権を侵害してなされやすいということが理由です。
弁護士としては、被疑者段階での自白調書の任意性を争うことがあります。刑事事件の裁判例でも、両手錠をしたままの取り調べによって得られた自白や、起訴猶予を条件にして得られた自白、共犯者が自白しているとの嘘をついて得られた自白は、任意性に疑いがあるとされています。

2. 伝聞証拠

主に言葉によって表現された供述が証拠となるものを供述証拠といいますが、刑事事件における供述証拠は話者の知覚や記憶、表現の過程に誤りが混入するおそれがあるので、誤りが混入していないかどうかをチェックする必要があります。このチェックなしには、伝聞証拠は証拠とはできません。
もっとも、伝聞証拠を一切証拠とできないとすると、証人の尋問の手間という負担がかかり、証人の記憶も事件直後に比べて裁判時には弱まっているなどの不都合もあるので、伝聞証拠排除には例外規定が設けてあります。

3. 違法に集められた証拠

刑事事件における収集手続きに重大な違法があって、将来の違法捜査抑制から採用するのが好ましくない証拠は、証拠として用いることができません。
また、刑事事件の収集手続きに違法がある証拠から派生的に収集された証拠も、一定の場合に証拠とすることができません。

5. 重要なことについて自白しか証拠がない場合は有罪になりません。

物証の収集は刑事事件の被疑者の預かり知らないところで進められている一方で、自白というのは被疑者が100%コントロールできる事柄なのでそれだけに刑事事件の被疑者にとって関心も高いのですが、捜査では自白に頼らずに物証を固めるという作業が最初に来ます。捜査官は自白よりも物証を真っ先に収集しようと努力しますし、取り調べも収集済みの物証と符合する自白を採取する形で進められます。裁判でも自白よりも物証の方が重んじられます。
また自白には刑事手続上、特別に自白法則というルールが決められています。自白法則には2つの意味があります。1つ目は、自白は任意になされなければならないというもので、すでに説明しました。2つ目は、犯罪事実の客観面のうちの重要な部分に関して自白しか証拠がないときは、裁判官からみて明明白白に有罪と判断できる状況でも有罪にはできません。刑事事件における自白はときに過大評価を受け、自白に対する反対尋問の機会が第三者の供述と異なり保障されていないからです。
このように物証のほうが自白よりも重視されており、自白法則という証拠として用いるにあたっての障害もあり、刑事事件での自白は捜査機関にとって必ずしもオールマイティではありません。
さらに刑事裁判の証明のハードルが高いこと、刑事裁判では原則としてすべて検察官が立証責任を負っていること、被告人が自らの無罪を証明する必要はないことはすでに説明した通りです。検察官の証明が不十分でありさえすれば、たとえ被告人が本当は真犯人であっても、有罪にはならないことも説明しました。
刑事事件によっては、自白がなければ起訴が難しいものもあります。自白がなければ起訴や公判維持が難しい事件において、逮捕直後から完全黙秘を貫き通して不起訴や無罪判決を狙う被疑者の態度は、刑事訴訟の原則を理解したうえで正々堂々と憲法上の権利を行使するもので、何ら後ろめたいことではありません。黙秘権は憲法上の権利であるからです。

6. 証明力

1. 自白

刑事事件において自白はまず、客観的証拠や自白以外の証拠から認定される客観的事実と符合するかどうか、犯行現場の状況、犯行態様などと自白が一致するかどうかで、自白の証明力を検討します。たとえば、侵入した窓ガラスの破損状況、死体の損壊状況、殺害後の死体の処理の仕方などの客観的事実と符合するかどうかです。
また自白をした時期が取り調べの初期であれば、刑事事件の取り調べの圧力や精神的疲労がないと考えられ、逮捕直後の罪の意識に基づくと考えられるので、その自白はより信用できると考えられます。他方で、別件逮捕などを繰り返し、長時間にわたり多数回の取り調べがなされた後に自白した場合は、取り調べの圧力や精神的疲労が蓄積しているので自由意思に基づいてなされていない可能性もあり、自白の証明力が低いとみられます。
自白内容に変遷があったり、否認から自白へ自白から否認へと変遷を繰り返したりするものは、証明力が低いといわれます。
明確で詳細な自白は証明力が高く、特に秘密の暴露(捜査官が知らなかった事実)が含まれているものは証明力が特に高いといわれます。反面、あいまいで漠然とした内容の自白は、何らかの理由で虚偽の自白をしているのではないかと思われるものもあります。

2. 第三者の証言

第三者と被告人とのつながりや利害関係、刑事事件の被告人に対して有利・不利な証言をする理由の有無などにより、証明力が判断されます。弁護士としては被告人を陥れるような動機がないか、被告人とのトラブルがあったのではないかなどを検討し、あれば指摘することで証明力に疑問を投げかけます。
内容の矛盾点や誤り、不明確な点に関しては、観察の不確かさ、観察能力、記憶の定着の問題、思い込みがあるとみられるときは弁護士が指摘をします。特徴的な対象物を観察したときは、記憶にも残りやすいので、証言の信用力が高いといえます。また観察の時間や観察した位置、対象物との距離、周囲時の視認条件(明るさなど)などは、観察の正確さに影響を与えます。大した特徴もないものを、短時間の間、ある程度離れた距離から暗い場所で観察しただけでは、証言の信用性はそれほど高くはないのが通常です。

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量 刑

量刑にあたって考慮される要素について

最高裁判例によれば、刑事裁判における量刑は、被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等すべての事情を考慮して決定されます。

量刑決定時に考慮される要素

1. 動機、方法及び態様

刑事事件の動機が反社会的であったり、私欲を満たすためであったり、情欲に任せたものであったり、通り魔的だったりすることで、量刑が重くなります。刑事事件の被害者から以前に何かをされて恨んだ末に犯行に及ぶのと、理由もなく犯行に及んだのとでは量刑事情が異なります。
刑事事件の方法や態様が残忍で執拗で危険であったり、巧妙であったりしても、量刑は重くなります。泥棒をするのに、素人的な方法で開いている窓から侵入するのと、工具を巧みに使い鍵を壊して侵入するのとでは量刑事情が異なります。

2. 結果の大小・程度・数量

同じ傷害罪でも、全治2週間と全治3カ月とでは、量刑も異なります。
結果に関しては、刑法の罪における結果以外の悪い結果が発生してしまった場合も、量刑事情としては考慮されます。たとえば、監禁をされた被害者がそのことを苦に自殺をしてしまった場合などです。

3. 刑事事件の被告人の性格

刑事事件の被告人の性格からみて取れる反社会性や常習性、犯罪傾向の進み具合、粗暴性などは、量刑事情に影響を及ぼします。

4. 刑事事件の被告人の一身上の事情

刑事事件の被告人の年齢や経済状態、定職に就いているかどうかなども量刑に影響します。
たとえば年齢が若ければ、更生の見込みがあるという点で量刑に対しても有利に作用します。

5. 刑事事件の前科・前歴

刑事事件の前科・前歴があれば、再犯のおそれありということで、情状が悪くなります。前科に関しては、刑の言い渡しが失効した後も量刑事情としては考慮されますが、あまりにも昔のものに関しては量刑事情として考慮することに対して慎重な運用がなされています。

6. 余罪

余罪に関しては、条件付きで量刑事情として考慮できるとされます。実質上、余罪を処罰する趣旨の場合は量刑の資料とすることはできず、単に刑事事件の被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知する場合には量刑の資料とすることができます。
実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮してはいけないというのは、刑事訴訟の基本原則の1つである不告不理の原則(起訴されていない犯罪について裁判をしてはいけないという原則)に抵触してしまうからです。
単に刑事事件の被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知するための資料として考慮することができるというのは、一方で、実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮してはいけないこととの区別が難しいです。しかし他方で、時間をかけて余罪を徹底的に捜査して起訴するよりも、量刑資料として考慮するにとどめるという効率的な運用が可能になる点や、非行を考慮できるのに余罪を考慮できないのはおかしいという理由などから、結論としては実務上、認められています。
もっとも実際には、実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮することが禁じられている以上、単に刑事事件の被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知するための資料として考慮するにしても、量刑上に大きな影響を及ぼすような考慮はできないようです。このことはたとえば、薬物の自己使用で過去の使用歴を自白している者が、本件が生まれて初めての使用であると言い張っている者よりも量刑が重く処罰されるのは不当であることからも理解できるところです。

7. 刑事事件に対しての反省

たとえば大麻取締法違反で起訴されている刑事事件の被告人が、大麻の所持が違法であることはおかしいと考えているなどと、雄弁な刑事事件の被告人が誤解を招く持論を展開したりすることがあります。刑事事件の被告人が反省をしているにもかかわらず、誤解を受けて反省していることを疑われないように、弁護人としては十分に注意する必要があります。

8. 刑事事件の被害弁償

結果的に刑事事件についての被害弁償がされた場合は、刑事事件の被告人に有利になります。仮に刑事事件の被害者が示談金を受け取らずに刑事事件についての被害弁償がなされないとしても、弁償に向けた努力は一般的に、一定の評価を受けます。弁護士が示談活動の記録をつけるなどして、刑事事件についての被害弁償に向けた活動を形に残すべきです。
刑事事件についての被害弁償の額ですが、余罪の被害額が相当額に上る場合は、起訴された本件の被害額以上の刑事事件についての被害弁償を検討することも、場合によっては必要です。
示談がなされない場合に贖罪寄付をすることがありますが、被害弁償ほどの効果は見込めないものの、量刑事情において一定の評価をされます。贖罪寄付に関しては、お金のない人にはできないので、金で刑を買うという批判もあります。この点、たとえば社会奉仕活動は、お金のない人にもできるので、お金のない人にもできる贖罪寄付として有効ではないかとも考えられます。

9. 自白

反省して自白していることが有利に働くことは間違いありませんが、だからといってやってもいないのに虚偽の自白をすることは絶対にしてはいけません。
刑事事件について否認や黙秘をすること自体は、検察官に対する対立当事者として正当な防御活動です。証拠上、明らかな事実に対して、悪あがきに見られるような不合理な否認・不合理な黙秘を続けた場合には、否認をしたことや黙秘をしたこと自体ではなく、その公判廷での態度からみて取れる反省のなさを結果的に、量刑上不利に考慮されることはあります。弁護士と相談して供述態度を決定することで、総合的な判断をするべきでしょう。

10. 刑事事件に対する社会の処罰感情

刑事事件に対する社会の処罰感情が一般的に、量刑事情に影響することは否定できません。
ちなみに、特定の犯罪に対する社会の処罰感情はときどきの社会背景によって変化します。

11. 刑事事件による社会的影響

凶悪犯罪によって社会が感じる不安やこれに対する対策コストなどです。

12. 刑事事件に対する社会的制裁

刑事事件による逮捕や勾留によって会社を首になったり、有名人などが報道によって社会から報復を受けたりすることなどで、刑事事件の被告人にとって有利な事情になります。

13. 刑事事件の被害者側の事情

刑事事件の被害者に落ち度があれば、量刑は刑事事件の被告人に有利になります。たとえば刑事事件の被告人の暴行が刑事事件の被害者の挑発に対してなされたものである場合などです。
刑事事件に対しての被害感情が強い場合は、刑事事件の被告人に不利に作用します。弁護士としては、被害弁償や示談、寛大な処罰を求める嘆願書を書いてもらい、被害届や告訴の取り下げをしてもらうことなどで対応し、被害感情が癒されたとして刑事事件の被告人に有利な情状立証をします。

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判 決

起訴されてから判決までにどのくらいの時間がかかりますか?
通常の場合、1か月から2カ月くらいで裁判が始まります。裁判が通常は判決まで2回かかりますが、地方の裁判所の場合は1回で判決まで終わることもあります。裁判の間隔は自白事件でも1、2週間ですので、否認事件などで裁判が長くかかった場合は、それだけ時間もかかります。
在宅事件で実刑判決が出た場合にすぐに身体を拘束されますか?
在宅事件の場合、判決が確定するまでは身体を拘束されることはありません。判決が確定すると検察官からの執行のための呼び出しがあります。
保釈されている場合は、懲役の判決が出されると、その場で収監されることになります。
判決の確定とは、裁判が通常の不服申立てによっては争えなくなることをいいます。確定するのは、上訴を許さない裁判では告知とともに、上訴ができる裁判では上訴期間の徒過したときです。
罰金刑でも前科はつきますか?
罰金刑以上で前科がつきます。
前科には2つの意味があります。
1つ目の意味は、罰金以上の刑に処せられた場合は、前科調書に記載されます。これが日常用語でいうところの前科です。過去に有罪判決を受けたという歴史的事実はずっと残りますので、警察庁の管理する前科調書には本人が死亡するまで記録が残ります。前科の有無は量刑に影響し、同じ犯罪でも初犯に対する求刑よりも2回目以降に対する求刑は徐々に重くなります。
2つ目の意味は、法律上の前科です。例えば執行猶予判決を下された場合、執行猶予期間を無事に過ごせば懲役刑の言い渡しが効力を失う結果、前科はなくなります。刑務所に服役した場合でも、刑法の規定により刑期の満了から10年間、罰金以上の刑に処せられないで過ごせば、刑の言い渡しが効力を失い前科はなくなります。この結果、一定期間内に禁錮以上の刑に処せられたことなどを理由とする執行猶予の欠格事由や職業上の欠格事由としての前科にはこれ以降、当たらないことになります。
前科がつくと、他人に分かってしまうものなのでしょうか?
前科の有無が他人に分かることはありません。戸籍、住民票、住民基本台帳やパスポートに前科の有無が記載されることもありません。プライバシーの観点からは気にしなくても大丈夫です。
前科がつくと戸籍が置いてある地方自治体の犯罪人名簿に登載されるのですが、公務員であっても自由に閲覧することができないものなので、これをきっかけに前科がばれるというのも現実的ではないです。
海外駐在の際に、警視庁から無犯罪証明を取得することをビザ取得の要件とする国もありますが、それ以外で前科の有無を証明する機会というのはまずありません。
履歴書の賞罰の欄に積極的に自分の前科を書かなかったからといって、それが発覚して責任追及されることもありません。会社が前科の有無を調べる手段はありません。よって就職に関して心配する必要はありません。勤務先にばれる可能性も、裁判所から会社に連絡が行くことはありません。
子供の将来に対する影響を気にされる方もいますが、子供が親の前科によって将来の可能性を閉ざされることもありません。
判決が下ると、報道発表されるということはありますか?
新聞記事を見ればわかるように、事件記事のほとんどが逮捕原稿です。逮捕されたときに報道されなければ、100%とは言い切れませんが、その後に事件報道がなされる可能性は低くなります。報道される対象者は有名人や公務員、会社役員などで、一般の方の刑事事件が新聞記事になることはそうそうありません。もっとも、新聞各社によっても基準に誤差はあり、地方版であれば社会面よりも載りやすいなどの事情はあります。あとは発行日の紙面の混み具合によっても掲載されるかどうかが変わってきます。
自治体に保管されている犯罪人名簿とは何でしょうか?前科が記載されると聞いたのですが。
罰金以上の有罪判決が下されたのちに、本籍のある地方自治体に地方検察庁から既決犯罪通知書が送付され、犯罪人名簿が作成保管されます。この犯罪人名簿への記載は、刑の言い渡しが効力を失うと削除されます。自治体の職員で閲覧できる者も限定されているので、この犯罪人名簿から前科がばれてしまうのではないかと心配する必要はありません。
地方で役場に勤務している人間との関係が極めて密である場合は、前科がついていることが発覚することを恐れて判決前に本籍を移転させた方も過去にいましたが。
「前歴」、「補導歴」、「非行歴」の違いはなんですか?
「前歴」とは、犯罪歴を意味し、有罪判決を受けた場合はもちろん、捜査機関により被疑者として検挙(逮捕、書類送検、微罪処分)されたことをいいます。不起訴処分になった場合、前科にはなりませんが前歴にはなります。前歴があることによって、日本の法令上はいかなる制限を受けるものではありません。
「補導歴」とは、通常は犯罪以外で警察に補導された経歴を意味すると解されています。
「非行歴」とは、通常は非行少年として検挙又は補導された経歴を意味します。非行少年は、少年法上の審判の対象になる少年のことです。なお、非行歴については、前歴として取り扱われます。

罰金刑を言い渡されると前科がつくと聞いたのですが、前科とは消えないものなのでしょうか?

前科には2つの意味があります。

前科というと、非常に気にされる方が多いようです。
刑事事件を起こし、罰金以上の刑に処せられた場合は、前科調書に記載されます。これが日常用語でいうところの前科です。過去に有罪判決を受けたという歴史的事実はずっと残りますので、検察庁の管理する前科調書には本人が死亡するまで名前が残ります。刑事事件における前科の有無は量刑に影響し、同じ犯罪でも初犯に対する求刑よりも2回目以降に対する求刑は徐々に重くなりますし、判決も重くなります。もっとも前科調書に一般の方がアクセスできることはないので、プライバシーの観点からは気にしなくても大丈夫です。前科が戸籍や住民票、住民基本台帳などに記載されることはありません。
これに対して法律上の前科というと、たとえば刑事事件を起こし執行猶予判決を下された場合、執行猶予期間を無事に過ごせば懲役刑の言い渡しが効力を失う結果、前科はなくなります。実際に刑務所に服役しても、刑法の規定により刑期の満了から10年間、罰金以上の刑に処せられないで過ごせば、刑の言い渡しが効力を失うので前科はなくなります。この結果、一定期間内に禁錮以上の刑に処せられたことなどを理由とする執行猶予の欠格事由職業上の欠格事由としての前科にはこれ以降、当たらないことになります。
なお、刑事事件において罰金以上の有罪判決が確定すると、検察庁が犯罪者の戸籍のある自治体に既決犯罪通知書を送付し、犯罪人名簿が作成されます。これは法律上の前科と同じく、刑が消滅すれば記載が削除されます

前科と前歴はどう違うのですか?

前歴は犯罪歴のことで、有罪判決を受けたことだけではなく、逮捕、書類送検、微罪処分などを含みます。

ほかに補導歴は犯罪以外で警察に補導された経歴を、非行歴は非行少年として検挙又は補導された経歴を、それぞれ指します。

執行猶予はどのような場合につくのですか?
執行猶予には、①初度の執行猶予と②再度の執行猶予の2種類があります。以下がそれぞれの要件です。
①初度の執行猶予
(1)前に禁錮以上の刑がない。または執行終了後5年内に禁錮以上の刑がない。
(2)今回の宣告刑が3年以下
②再度の執行猶予
(1)執行猶予中
(2)今回の宣告刑が1年以下
(3)情状に特に斟酌すべきものがある
(4)前回の執行猶予の際に保護観察に付されていない
以上が満たされることが要件となります。
執行猶予の効果は、1年以上5年以下の範囲で執行を猶予できることと、保護観察できる(再度の執行猶予の場合は必ず保護観察が付きます)ことです。

刑事事件で執行猶予がつく条件はどのようなものでしょうか?

最終的に裁判官が宣告する刑が3年以下の懲役・禁固に対して、1年から5年の執行猶予を付すことが可能です。

刑事事件における執行猶予期間は3年が一般的で、余罪がたくさんあるなど再犯のおそれが大きいときや実刑か執行猶予かの判断が悩ましいときなどには、4年や5年といった長めの執行猶予期間が言い渡されるようです。1年の執行猶予期間が言い渡されるのはまれです。
検察官が求刑で3年を上回る刑を求めてきた場合は、実刑を求めているといわれます。しかし求刑が3年以上でも、最終的に裁判官が下す判決で3年以下であれば、執行猶予を付けることはできます。
刑事事件において執行猶予が付くための情状として、動機や犯罪結果、示談状況、被害者の落ち度、犯人の年齢、家族状況、犯罪歴の有無、反省度合いなどが考慮されます。

執行猶予付判決の場合は、刑期は求刑通りとなることが多いようです。

執行猶予期間中に罪を犯してしまいましたが、再度の執行猶予はありえますか?

ありえますが、例外的です。

刑事事件において刑を言い渡された時点で執行猶予中であった場合、再度の執行猶予を付される条件は、1年以下の懲役・禁固が言い渡されてかつ特に情状に斟酌すべきものがあるときです。前刑の執行猶予時に保護観察が付いていないことも必要です。この場合は、必ず保護観察が付されます。
特に情状により斟酌すべきものがあるときとは、2回目の犯行が軽い事案で、被告人が若くて更生の見込みがあり、実刑にすることで前刑の執行猶予の取消し分も含めて相当の期間を服役し更生に極めて不利益である場合など、例外的な場合に限られます。
ちなみに再度の執行猶予に関しては、執行有猶予中の被告人が新たな犯罪で実刑になった場合に、執行猶予の期間満了間近であるときは、弁護士により控訴をすることによって実刑の確定を遅らせ、そのことによって執行猶予の取り消しを逃れるという弁護戦術が取られることがあります。控訴審には約3カ月かかりますので、この間に執行猶予期間を満了させるということです。このことによって前刑の懲役を服役しなくて済むようになることもあります。
再度の施行猶予を付した場合に検察官に控訴をされると、控訴審で破棄されるのが一般的なようです。

執行猶予が取り消される場合とはどのような場合ですか?
執行猶予は、あらかじめ一定の条件がある場合には取消権を行使するという留保の上で行うものですので、条件違反の場合には取り消されます。
取消事由には、①必要的取消事由と②任意的取消事由とがあります。
①必要的取消事由(刑法26条)
以下の事由が生じた場合には必ず執行猶予が取消されます。
(ア)執行猶予期間中にさらに罪を犯し、禁錮以上の実刑に処せられたとき(1号)
(イ)執行猶予の言渡し前に犯した罪につき、禁錮以上の実刑に処せられたとき(2号)
(ウ)猶予の言渡し前に他の罪について実刑に処せられたことが発覚したとき(3号)
②任意的取消事由(26条の2)
以下の事由が生じた場合には執行猶予を取消すことができます。
(ア)執行猶予期間中に、さらに罪を犯し罰金刑に処せられたとき(1号)
(イ)保護観察に付されている者(25条の2の者および25条1項の者の一部)が遵守事項を遵守せず情状が重いとき。ただし、仮解除中の場合を除く(2号)
(ウ)猶予の言渡し前に他の罪につき禁錮以上の刑に処せられ、執行猶予に付されていることが発覚したとき(3号)
執行猶予の期間が経過するとどうなるのでしょうか?
刑法27条によると、「刑の執行猶予の言渡しを取消されることなく猶予の期間を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。」とされています。
「刑の言渡しの効力を失う」とは、言渡しに基づく法的効果が将来に向かって消滅するという意味です。これによって、執行猶予の要件となる、「前に禁錮以上の刑に処せられた事がない者」などには該当することになります。
ただし、確定判決を受けたという事実自体が消滅するわけではありません。刑の言渡しが執行しても、言渡しを受けたという事実そのものをその後の犯罪の量刑資料に使うことは許されています。また、刑の言渡しによっていったん失った資格が執行猶予期間の経過によって当然に回復するものでもありません。
公務員なのですが、有罪になると職を失ってしまうのですか?
公務員の場合、懲役刑や禁錮刑になってしまうと、たとえ執行猶予がついたとしても欠格事由に該当し失職してしまいます。
失職の場合には退職金が支給されません。懲役刑が確定する前に辞職した場合でも辞職が認められずに、退職金が支給されなかった場合もあります。
被疑者が公務員の場合は、不起訴処分で済ませてもらい公判請求されないようにすることが大切です。
懲役刑と禁錮刑の違いは何ですか?
懲役刑は刑務作業が義務になっていますが、禁錮刑は義務になっていません。
もっとも、何もしない状態で房にいることは苦痛であるのか、ほとんどの禁錮刑受刑者は自ら進んで刑務作業をしているようです(請願作業といいます)。
禁錮刑は現在、交通事故の過失犯に対して言い渡されています。
懲役刑の求刑に対して禁錮刑を選択することはあまりないようです。
未決拘留日数の算入とは何ですか?
勾留は身体の拘束をされるという意味で懲役刑や禁固刑の執行に類似しているので、公平の原則上、一定の場合に刑に算入することができます。この場合、算入された日数分はすでに刑期に服したことと同じ扱いになり、懲役刑の刑期が実質的に短くなります。逮捕中の期間は未決拘留には含みません。
実務では一定の計算方法により未決拘留期間の一部が算入されます。
一部算入の計算方法については、起訴前の勾留期間は算入せず、起訴後の勾留日数のうち第1回公判期日までの日数から30を、その後の各公判期日間の日数については10をそれぞれ引き、端数は10日単位に切り上げ、切り捨て、又は四捨五入するものです。
保釈されている被告人が実刑判決を受けた場合どうなりますか?
判決の言い渡し後に傍聴席にいる検察庁の職員に連れて行かれて刑務所に行くことになります。
控訴した後に再度保釈をお願いすることはできますか?
再保釈の請求は可能です。
ただし保釈金の追加が必要になります。
一時不再理効とは何ですか?
一時不再理効とは、有罪・無罪の実体判決が確定した場合に、同一事件について再訴を提起することができないという効力をいいます(337条1号)。
身代り犯人Aについて有罪判決が確定した後、真犯人Bを起訴することはできますか?
真犯人Bを起訴することはできます。
一時不再理効は、有罪判決の危険にさらされていた者、すなわち当該訴訟手続きの対象となった被告人についてのみ及ぶと考えるべきであり、身代りで出廷している被告人Aについてのみ一時不再理効が及び、被告人Bには及びません。
罰金刑になった場合、その場で罰金を納付しなければならないのですか?
いいえ、その場で支払う必要はありません。
一般的には、判決が確定した数日後(仮納付判決の場合は、判決言渡しの数日後)に、検察庁から、被告人の自宅等に納付の通知が送られます。納付期限はその通知に書かれており、一般的には通知日から10日程度の余裕があります。
罰金刑になった場合、どのように罰金を納付すればいいですか?
通知書に指定された金融機関に納めます。期限内であれば、納付手数料はかかりません。納付期限後に支払う場合には、検察庁の窓口か現金書留で納付することになります。
罰金刑で納めた罰金は、誰のものになるのでしょうか?
国庫に入ります。
貧困で決められた罰金を支払うのが困難な場合はどうすればよいのでしょうか?
納付期限に納めることが困難な場合は、その旨を検察庁に連絡し、延納、分納の申請をすれば、認められる場合があります。
罰金または科料を完納することができないときは、換刑として労役場留置が執行されます(刑法18条)が、罰金については裁判が確定した後30日以内、科料については裁判が確定した後10日以内は、本人の承諾がなければ留置の執行をすることができません(刑法18条5項)。
無罪判決をとりました。逮捕・勾留された苦痛を賠償してもらう方法はありますか?
刑事補償手続と費用補償手続の方法があります。

※刑事補償手続
無罪の判決を受けた者が、未決の抑留または拘禁を受けた場合には、その者若しくは相続人は、国に対して、抑留または拘禁による保証を請求することができます(刑事補償法1条2条)
また、本人の名誉回復のため、保証決定が確定したときは、その決定を受けた者は、裁判所に対して、官報および3種類以内の新聞紙に各1回以上決定要旨を公示することを求めることができます(同法24条)

※費用補償手続
無罪の判決が確定したときは、被告人であった者は、国に対して、裁判費用の補償請求をすることができます(刑訴法188条の2、188条の3)。一部無罪の場合でも、無罪となった事実の審理にかかった費用が補償されます。
補償費用の範囲については、弁護人・被告人の旅費、日当、宿泊料のほか、弁護人の報酬が含まれます。この場合の弁護人の報酬は、国選弁護人に支給される報酬額の算定基準が参考とされます。複数の弁護人がついていた場合は、一部の弁護人についての旅費等に限定される場合があります。

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刑の執行

「懲役」と「禁錮」とはどのように異なるのですか?
どちらも一定期間刑務所に入れられる刑罰であるという点では全く同じです。
唯一の違いは、懲役は刑務所にいる期間のうち、一定の労役(刑務作業という)に服することが義務づけられていますが、禁錮にはそのような義務はありません。
労務が義務付けられていないということで、懲役よりも禁錮のほうが軽い刑であるとされています。禁錮受刑者は、自分で希望すれば刑務作業をすることができ(請願作業といいます)、ほとんどの禁錮受刑者がこれを望むようです。
禁錮刑は現在、交通事故の過失犯に対して言い渡されています。
懲役刑の求刑に対して禁錮刑を選択することはあまりないようです。

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