よくある質問まとめ

03-5532-1112

警察から呼び出された方の無料相談
電話 10分無料/来所 30分無料

失職を避けたい逮捕阻止 5つのポイント

失職を避けたい

資格制限について

資格制限について

公務員や一部の国家資格では、刑事事件において刑罰の言渡しを受けることが欠格事由に該当し、失職することがあります。
さらに、失職の場合には通常退職金が支給されないという不利益も受けます。(公務員について、国家公務員退職手当法12条、退職手当条例準則8条に基づいて各自治体が定める退職手当条例参照)

欠格事由は、禁錮以上であるか、罰金以上であるかなど差があります。下の表をご確認ください。

【相対的欠格事由】
職業・資格根拠法令要 件
医 師医師法4条3号罰金以上
歯科医師歯科医師法4条3号
薬剤師薬剤師法5条3号
【有罪時の欠格期間について】
■罰金以下の場合 罰金+5年

刑の執行を終わり、またはその執行を免除されてから、罰金以上の刑に処せられないで5年を経過するまで

■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 実刑期間満了+10年

刑の執行を終えてから、罰金以上の刑に処せられないで
10年以上経過するまで

【絶対的欠格事由】
職業・資格根拠法令要 件
学校の校長・教員学校教育法9条2号禁錮以上
【有罪時の欠格期間について】
■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 実刑期間満了+10年

刑の執行を終えてから、罰金以上の刑に処せられないで
10年以上経過するまで

職業・資格根拠法令要 件
建築士
1~2級、木造建築士
建築士法7条禁錮以上
宅地建物取引業者宅地建物取引業法5条1項3号
【有罪時の欠格期間について】
■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 実刑期間満了+5年

刑の執行を終えてから、罰金以上の刑に処せられないで
5年以上経過するまで

職業・資格根拠法令要 件
公認会計士・
公認会計士補
公認会計士法第4条3号禁錮以上
司法書士司法書士法5条1号
不動産鑑定士・
不動産鑑定士補
不動産の鑑定評価に関する法律16条4号
【有罪時の欠格期間について】
■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 実刑期間満了+3年

刑の執行を終えてから、罰金以上の刑に処せられないで
3年以上経過するまで

職業・資格根拠法令要 件
行政書士行政書士法第5条3号禁錮以上
社会福祉士又は
介護福祉士
社会福祉士及び介護福祉士法3条2号
保育士児童福祉法18条の5 第2号
【有罪時の欠格期間について】
■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 実刑期間満了+2年

刑の執行を終えてから、罰金以上の刑に処せられないで
2年以上経過するまで

職業・資格根拠法令要 件
国家公務員国家公務員法38条2号禁錮以上
地方公務員地方公務員法16条2号
自衛隊員自衛隊法38条1項2号
【有罪時の欠格期間について】
■執行猶予の場合 執行猶予期間満了まで
■実刑の場合 刑期満了まで

刑の執行が終了するまで

※欠格事由に該当して資格を剥奪され、失職した場合には、欠格事由に該当する期間が経過したとしても当然に復職できるものではありません。
※絶対的欠格事由については、執行猶予の場合と実刑の場合について記載しています。刑の時効の完成、恩赦による刑の執行の免除などについては、刑法34条の2及び各参照法令を参照ください。
※詳細についてはそれぞれの参照法令をご覧ください

<具体例>
・不起訴処分の場合 (前科が付きません。逮捕された場合でも逮捕されたという前歴のみです)
>>上記のいずれの欠格事由にも該当しません。

・略式裁判で罰金となった場合 (前科が付きます)
>>公務員や学校教員については欠格事由になりませんが、
医師・薬剤師等の場合には相対的欠格事由になりますので失職の可能性があります。

・起訴されて正式裁判の結果、罰金刑となった場合 (前科が付きます)
>>公務員や学校教員については欠格事由になりませんが、
医師・薬剤師等の場合には相対的欠格事由になりますので失職の可能性があります。

・起訴されて正式裁判の結果、執行猶予判決となった場合 (前科が付きます)
>>執行猶予であってもいずれの欠格事由にも該当するため、
公務員や学校教員については必ず失職しますし、
医師・薬剤師等の場合には相対的欠格事由になりますので失職の可能性があります。

⇒医師や薬剤師・看護師等の方が失職しないためには、不起訴処分を目指しましょう!
⇒公務員や学校の教員の方が失職しないためには、不起訴処分か、罰金刑を目指しましょう!

ただし、罰金刑については、法定刑として罰金刑が定められているものでないとそもそも可能性がありません。
⇒弁護士による公訴提起前の活動を充実させて、不起訴処分を目指しましょう

ページトップへ

要注意事件

要注意事件

痴漢は要注意!
痴漢の場合には、迷惑防止条例違反か強制わいせつ罪となります。両者のボーダーラインとしては、一般に下着の外から触った場合に条例違反、中に手を入れて体を直接触った場合に強制わいせつ罪と言われています(例外あり)。

迷惑防止条例違反の場合には法定刑に罰金刑がありますが、強制わいせつ罪には罰金刑がありません。
逮捕時の罪名が条例違反であっても、起訴されるときに強制わいせつ罪になった事例も存在します。
強制わいせつ罪で起訴されてしまえば、最も軽い罪になったとしても執行猶予つき判決ですので、公務員の場合は資格制限にかかり、失職は免れないことになります。

⇒起訴前の弁護士による活動が重要
⇒示談を成立させて不起訴処分を目指しましょう。

交通事故でも問題になることが多い!
自動車の運転は、真面目に社会生活を行っている人であっても、一瞬の気の緩みで大事故を起こしかねない危険性をはらんでいます。
法定刑は罰金・懲役・禁錮が有り得ますが、重大な結果が生じた場合には禁錮刑となることが多く、死亡事故などでは初犯でも実刑判決となることも十分考えられます。
つまり、たった一度の事故であっても、起訴されてしまえば失職する危険性が大きいということです。
⇒弁護士による起訴前の活動が重要
⇒被害弁償を尽くして、弁護士が検事に働きかけることが考えられます

前科があると不利に
一般刑法犯について、初犯者であれば約半数が起訴猶予処分(不起訴処分)となりますが、前科がある場合には2~3割しか起訴猶予処分(不起訴処分)となりません。
前科がある場合には起訴される確立が高く、失職のおそれもその分高くなります。
⇒弁護士による起訴前の検事との交渉が重要
⇒示談を成立させる。被疑者に有利な事情を主張するなど弁護士の意見書の内容を充実させることも重要に

ページトップへ

刑事事件と懲戒(解雇)処分について

刑事事件と懲戒(解雇)処分について

逮捕されている間の留置・被疑者勾留(最大23日間)

逮捕されなかった場合、逮捕されたが勾留されなかった場合

刑事事件を起こしたが逮捕されていない場合や、逮捕されたが勾留されずにすぐに身柄を解放された場合については(場合によっては、金曜の夜逮捕されて、勾留されなければ月曜日に通常通り出勤でき会社に影響を与えない場合も)、通常どおり勤務を継続することが可能です。
ただし、社名を含めて大々的に報道されてしまった場合等、対外的に影響がある場合には、会社から休職を求められる場合もあります。

逮捕・勾留された場合

他方、犯行について否認するなどして勾留が決定した場合には、逮捕期間も含め最大23日間身柄が拘束されます。
その間は欠勤せざるを得なくなります。

◆会社を無断欠勤

刑事事件で逮捕されたことを知られたくないがために、会社に連絡をしていない場合

⇒無断欠勤になってしまいますので、一定期間継続をもって解雇される可能性があります。
ただし、逮捕されている間の2~3日のみの無断欠勤で、勾留されずに身柄解放されたのであれば、解雇とされる一定期間の継続には該当しないでしょう。

◆会社に理由を告げて欠勤

⇒通常の欠勤の取り扱い、もしくは、当該社員の申し出があれば年次有給休暇の取り扱いとします。

刑事事件においては無罪推定の原則(検察官が合理的な疑いを超える程度に立証し、有罪判決が出されるまでは、被告人は無罪だと推定されます)、「疑わしきは被告人の利益に」と言われるとおり、逮捕・勾留されたからといって、即ち有罪であるというわけではありません。
特に刑事事件で勾留される場合は、本人が否認している場合が多く、本人が冤罪を主張しているにもかかわらず、会社が即時解雇をすることは許されません。

◆会社に連絡をしているにも拘らず、会社が無断欠勤として取り扱うことは適切でしょうか

⇒不適切です。
当該社員との連絡は、勾留先での面会において行うことができます。仮に接見禁止処分に付されていても弁護士を通じて連絡が可能です。
従業員本人と連絡がとれないことをもって無断欠勤とし、無断欠勤の一定期間継続をもって解雇であると会社がみなすことはできません。

ページトップへ

起訴された場合

起訴された場合

刑事事件で起訴された後も引き続き勾留される場合、保釈が認められなければさらに数か月の身柄拘束が継続することもあります。

刑事事件における長期間の勾留により、労務の不提供が一定期間継続することが明らかである場合は、一般的に就業規則の定めに従って起訴休職の取り扱いとします。

起訴休職

起訴休職とは、
刑事事件に関し起訴された者を一定期間又は判決確定までの間休職とするもので、企業の社会的信用の維持や、職場秩序の維持、懲戒又は解雇などの処分の留保又は猶予等の趣旨が混在したものです。

起訴休職については通常制度化しているわけではなく、その休職が必要なときは、休職の一般規定である「企業が必要と認めた場合の休職」で対応するようです。

休職期間中の賃金

起訴休職期間中については、ほとんどの私企業が無給としています。
公務員の場合は100%ではありませんが、一定の金額の保障があることが多いようです。

休職期間中の賞与

賞与の対象となる査定期間が起訴休職期間中であれば、無給と評価されるのが通常です。

起訴休職の要件

起訴休職は、労働者の意思にかかわらず発令すること、休職期間中賃金が100%保障されるものではない(私企業では無給が多い)こと等、労働者が不利益を負う性格上、休職命令の発令には一定の合理的制限がされています。

使用者が起訴休職を命令するための要件

【1】 労働者が刑事事件で起訴されたこと

【2】 以下のいずれかの理由

①企業の対外的信用の維持
②職場秩序の維持
③不安定な労務提供によって業務に支障が生じることの防止

【3】 無給休職の場合、労働者の不利益と起訴の対象となった犯罪行為の軽重と比較して著しく均衡を欠かないこと

※身柄拘束されていない刑事事件(在宅起訴、もしくは保釈)については、
【2】③の要件を欠くため起訴休職の適用は慎重を要します。

起訴休職処分が無効とされた事例
①全日本空輸事件(東京地判平成11.2.15)

事案の概要

航空会社の機長が男女関係にあった元客室乗務員に傷害を負わせたとの被疑事実で逮捕・起訴、略式命令を受けたが正式裁判請求したので、その13日後に起訴を理由に無給休職処分とした事案。

判決内容

在宅で起訴され公判期日への出頭も有給休暇の取得により十分可能であって労務を継続的に給するに障害はなく、休職処分時点で略式命令から約1か月を経過し安全運行に影響を与える可能性(ストレス等の面)は認めらない。また、起訴事実が業務と無関係ないわゆる男女関係のもつれが原因で生じた偶発的なトラブルに伴う傷害であって、休職命令時点ではマスコミの取材、報道も途絶え、原告が引き続き就労することにより、被告(会社)の対外的信用失墜、職場秩序維持に対する障害及び労務の継続的な給付についての障害を生ずるおそれがあるとは認められない。
さらには、仮に有罪となった場合原告に付される可能性のある懲戒処分(出勤停止、減給)と比較して無給の本件休職処分は著しく均衡を欠くなどから、起訴休職処分を無効としました。

②山九事件(東京地判平成15.5.23)

事案の概要

物流会社の総合職が子会社に出向中、痴漢行為(条例違反)で逮捕。勾留後起訴され、保釈決定されたが、その決定の2日後に無給起訴休職とした事案。

判決内容

対外的折衝のない職場で女性従業員の少ない部門に配置換えすることも可能で、そのような配置なら対外的信用も害せず職場の混乱も避けられ、当該労働者の就労により業務に支障が生ずることもなかったとして、起訴休職処分を無効としました

起訴休職処分が有効とされた事例
①明治学園事件(福岡高判平成14.12.13)

事案の概要

私立中学校の社会科の教師が出入国管理法の不法就労あっせん罪で逮捕・勾留され、起訴された際に、無給の起訴休職処分とされた事案。

判決内容

まず、無給休職は、「休職によって被る被用者の不利益が極めて大きいから、その不利益の程度が起訴の対象となった犯罪行為の軽重と比較して著しく均衡を欠かないことをも要する」とした上で、本件において、教師は逮捕された後長期間勾留され、学園も捜索を受け、また、現職の教員が被疑者とされたことから大きく報道されたこともあって、学園は生徒の保護者や卒業生などから問い合わせを受けるなど学園の業務に大きな混乱が生じたであろうことは容易に推測することができる。さらに、教師は、社会科を担当する教員であったことを考えれば、学園が教師を職場に復帰させることが相当でないと判断したことには十分な合理性、相当性があり、また、教師が犯した本件犯罪行為は、懲戒解雇事由に該当する可能性があることも否定することができず、本件無給休職と起訴の対象となった行為が均衡を欠くものではなかったとして起訴休職処分を有効としました。

⇒職場秩序への支障や社会的な信用の失墜については、刑事事件の起訴事実の破廉恥性、業務との関連性、職場における地位などが重要な判断要素とされます。

ページトップへ

有罪となった場合

有罪となった場合

刑事事件で有罪となった場合は、懲戒処分の可否を検討することになります。

そもそも、私生活上の非行を理由とする懲戒(解雇)は許されるのでしょうか?

たしかに、懲戒(解雇)は、労働者の企業秩序違反に対する使用者の制裁であって、私生活上の非行について懲戒(解雇)をすることはできないとの考え方もあります。
他方、労働者は雇用契約を締結することにより、雇用契約上の付随義務として誠実義務を負うものであって、その一つとして使用者の名誉・信用を毀損しない義務があります。
その意味から、労働者の就業時間外の私生活上の非行であっても、それが企業秩序違反との関連するものについては懲戒(解雇)の対象となるとするのが通説です。

≪最高裁の立場≫

私生活上の非行は、原則として懲戒(解雇)の対象とはならないとしつつ、企業の信用毀損につながる場合には企業秩序違反として懲戒(解雇)の対象となりうるとの判断枠組みを示しています。

たとえば従業員が痴漢行為で刑事事件において有罪となった場合、直接職務とは関係のない非行であるものの、他の従業員、特に女性従業員の示す嫌悪感は想像に難くありません。当該従業員が職場に復帰することで職場環境に影響を及ぼす場合、何らかの方策をとる必要が出てくる場合があります。

私生活上の非行とはいえ、この事実を看過すると企業秩序の維持確保ができないと判断される場合、何らかの懲戒処分を検討すべきです。これまでの経緯や、当該社員の反省の姿勢、事業運営への影響等の事情も考慮して、就業規則の定めに従い適正な手続きで処分内容を決定します。

私生活上の非行について懲戒(解雇)の対象となりうることを一般論で述べた判例
①日本鋼管砂川事件(最判昭和49.3.15)

いわゆる砂川事件に参加し、刑事特別法違反の罪により逮捕・起訴され罰金に処せられたため、「不名誉な行為をして会社の対面を著しく汚したとき」に該当するとして懲戒解雇した事案について、「営利を目的とする会社がその名誉、信用、その他相当の社会的評価を維持することは会社の存立ないし事業の運営にとって不可欠であるから、会社の社会的評価に重大な悪影響を与えるような従業員の行為については、それが職務遂行と直接関係のない私生活上行われたものであっても、これに対し会社の規制を及ぼしうることは当然認められ(る)」と判示。

②関西電力事件(最判昭和58.9.8)

従業員が、会社を誹謗中傷するビラを社宅で配布したため「その他不都合な行為があったとき」に該当するとして、譴責処分にした事案について「労働者は・・・・企業秩序を順守すべき義務を負い、使用者は広く企業秩序を維持し、もって企業の円滑な運営を図るため」に懲戒ができるとし、「職場外でなされた職務遂行」に関係のない労働者の行為であっても、「企業の円滑な運営に支障を来すおそれがあるなど企業秩序に関係を有するものもあるから、企業秩序の維持の確保のために、そのような行為をも規制の対象と(なしうる)」旨判示。

私生活上の非行によって懲戒(解雇)になる可能性があるとして、

私生活上の行為が信用を毀損したとか、対面を著しく汚したとはどのような場合でしょうか?

⇒日本鋼管砂川事件(最判昭和49.3.15)において最高裁は、
信用あるいは体面とは「会社の社会的評価」を指し、「必ずしも具体的な業務阻害や取引上の不利益の発生を必要とするものではない」としつつ、「会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価される場合」でなければならないとした上で、
当該行為の性質、情状、会社の事業の種類・態様・規模、経済社会に占める地位、経営方針、当該労働者の会社における地位、職種等を掲げ、これらをもとに総合判断するとしました。

近時の裁判例もこれに従っています(たとえば、小田急電鉄(退職金請求)事件・東京地判平成14.11.15/東京高判平成15.12.11)。

懲戒解雇処分の有効性

私生活上の非行であっても懲戒処分の対象となりうるとして、中でも懲戒解雇を選択する場合には、特に慎重な検討が求められます。
当該社員が指導的な立場にある場合や、業務の性格上規律順守が強く求められる場合、企業の対外的信用の毀損の程度によっては、懲戒解雇の選択によらねば企業秩序や業務の正常な運営を維持できないという判断もあり得ます。
しかし、そこまでの判断がためらわれる場合には懲戒解雇処分では重すぎるとして無効となる場合があります。

◆私生活上の非行による懲戒解雇が無効とされた事例
①日本鋼管砂川事件(最判昭和49.3.15)

動機が破廉恥ではなく、刑罰も罰金2,000円と軽微であり、会社は従業員3万名を擁する鉄鋼メーカーであり、当該従業員は工員にすぎなかったことから、体面を著しく汚したとはいえないとして懲戒解雇事由としては不十分であるとされています。

②横浜ゴム事件(最判昭和45.7.28)

酩酊して他人の風呂場から忍び入り住居侵入罪で逮捕・起訴され罰金2,500円に処せられた事案について、受けた刑罰が罰金2,500円と軽微であり、当該労働者の地位も蒸熱作業担当の工員であることから体面を著しく汚したと評価することはできず懲戒解雇は無効とされています。

③鳥取市農協事件(鳥取地判昭和49.5.24)

業務外の道交法違反により起訴され罰金の略式命令を受けた事案について、解雇は重きに失し無効であるとされています。

◆私生活上の非行による懲戒解雇が有効とされた事例
①JR東日本事件(東京地決昭和63.12.9)

JRの自販機へ缶ジュース等を投入する業務に従事する職員が、下着窃盗を目的に住居侵入し、略式起訴により罰金1万円に処せられた事案について、罰金は1万円にとどまるが、下着窃盗目的での住居侵入であり破廉恥・悪質であり、JRの社会的評価を毀損させるものとして懲戒解雇は有効とされています。

②千葉中央バス事件(千葉地決昭和51.7.15)

バスの運転手が休日に飲酒運転をして罰金刑に処せられた事案について、解雇は有効とされています。

③小田急電鉄(退職金請求)事件(東京地判平成14.11.15/東京高判平成15.12.11)

鉄道会社の従業員が、過去2度も他の鉄道会社の電車内で痴漢行為を行って迷惑条例に違反し逮捕され、本件直前の痴漢行為は起訴され罰金刑(20万円)を言い渡されていたにもかかわらず、わずか半年後にJR高崎線の電車内で三たび痴漢行為を行い逮捕・起訴されたことを理由として懲戒解雇された事案について、電鉄会社は痴漢撲滅運動に力を入れており、本来、鉄道業に携わる者として、こうした犯罪から乗客を守るべき立場にあることに照らすと、会社の規模、従業員の地位のほか、会社の企業名が報道された事実がないことを斟酌しても、本件行為は、これによって会社の名誉、信用その他の社会的評価の低下毀損につながるおそれがあるとして懲戒解雇は有効とされています。

⇒刑罰法令違反で逮捕された職員については、会社の業種・規模・違反行為が破廉恥犯か否か、当職職員の会社における地位などを総合的に勘案したうえで、会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると判断される場合であれば、会社の信用を毀損したものとして懲戒解雇をなしうると考えてよいでしょう。

退職金について

懲戒解雇の有効性と退職金の減額・没収の有効性は別問題です。
退職金は、賃金の後払い的性格も有しますので、この部分までも没収することは困難です。

小田急電鉄事件(東京高判平成15.12.11)では、痴漢事件を起こした電鉄会社社員の懲戒解雇はやむを得ないとしながらも、退職金については一定割合を支給すべきとし、3割支給が相当であるとされました。

ページトップへ

刑事事件で無罪となった場合

刑事事件で無罪となった場合

懲戒解雇となることはありません。
むしろ企業には、当該社員の円滑な職場復帰への支援が求められます。
特に、勾留により精神的にダメージを受けていることも考えられますので、場合によっては産業医等によるメンタル面のケアについても必要になることがあります。

ページトップへ